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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 > II 研究所の概要 はじめに

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.39 2008年度の活動

II 研究所の概要

はじめに

霊長類研究所の概要を述べるにあたって,その沿革から紹介する.

霊長類研究所は,霊長類に関する総合的研究をおこなう目的で,全国の研究者の共同利用研究所として,昭和42年6月1日,京都大学に附置・設立された.京都大学に13ある附置研究所のひとつであり,国内に41ある「全国共同利用研究所」のひとつである.

創立以来42年間にわたって,人間を含めた霊長類の生物学的特性の研究で多くの研究成果をあげてきた.平成21年4月1日現在,本研究所には4つの研究部門(10分野)と,2つの附属研究施設がある.教員数は約40名,大学院生等も約40名である.更に,海外での学術調査や外国人研究者の来訪も多く,活発な国際交流がおこなわれている.

以下に,創設以後の歴史の概要を記す.昭和43年に,現在の犬山市官林のキャンパスに研究棟第1期工事が完了した.以後,第2期工事,共同利用研究員宿泊棟,犬山市塔野地の職員宿舎,宮崎県串間市の幸島野外観察施設の研究棟などの竣工をへて,昭和44年6月2日に霊長類研究所の開所式がおこなわれた.また共同利用研究は,昭和44年8月1日より開始された.昭和47年には,キャンパス西側に隣接した1.3ヘクタールの土地を購入し,サル類保健飼育管理施設の本棟,検疫棟,放飼実験場などを建設した.昭和52年,本館の第4期工事によって,当初構想していた研究棟が完成した.昭和55年には,実験用サルの繁殖コロニーと育成舎が竣工し,サル類の自家繁殖体制が整備された.また,昭和58年には,従来の幸島野外観察施設をニホンザル野外観察施設へと改組拡充し,当初構想の9研究部門に加えて,2附属研究施設の体制となった.

平成5年4月に,創立以来はじめて,研究部門の改組をおこなった.従来の伝統的な学問区分から抜け出し,新たな対象を掲げ複合的な視点をもった研究体制に整備することをめざした.大部門化改組によって,従来の9研究部門を4大部門10分野に再編統合した.これによって,チンパンジー研究の推進の核として新たに思考言語分野が誕生した.時を同じくして,平成7年3月に,本棟(研究棟)の東側に隣接して類人猿行動実験研究棟(新棟)が建設され,チンパンジー研究をはじめとする多様な研究基盤が強化された.平成11年4月には,新しい研究用サル類の創出・育成をめざして,サル類保健飼育管理施設を改組し,「人類進化モデル研究センター」を新たに発足させた.当初,外国人教員を含む4つの研究領域をたて,配置教員の増員もかない,従来の飼育管理運営の業務に加えて研究面についても充実をはかった.

平成19年6月に,霊長類研究所は創立40周年を迎えた.同年,第一キャンパスの東に位置する第2キャンパス(総面積約76ヘクタール)を整備して,その南部の約10ヘクタールにリサーチ・リソース・ステーション(RRS)を開所した.第一段階としてニホンザルを対象に,順次,新世代の研究用霊長類の繁殖育成をはかる研究基盤整備の事業である.

この創立40年の節目の年に,本棟の耐震改修と機能向上のための工事をおこなった.地上5階,地下1階,全216室がすべて退去するという大工事だったが,所員各位の協力があって,平成20年3月に無事に竣工した.同年4月には,ニホンザル野外観察施設を廃止し,霊長類研究所が母体となって,「野生動物研究センター」という新しい部局が京都大学に誕生した.霊長類以外の野生動物を研究の視野にいれて,人間を含めた自然のありかたや,地球社会の調和ある共存を探る研究をおこなう研究教育組織である.

さらにこれを受けて,平成21年4月に,霊長類研究所は「国際共同先端研究センター(CICASP)」を新たに設置した.背景としては,1953年以来55年間続いた「全国共同利用」という制度が平成21年度末で終了することが決まっている.平成22年度からは「共同利用・共同研究拠点」という新制度が発足する.そうした新たな拠点制度への移行を視野に入れて,霊長類研究所が真に国際研究所として機能するためのセンターである.

研究と並行して,大学院教育をおこなっている.霊長類研究所がおこなう大学院教育は,理学研究科動物学専攻の1分科として昭和47年に発足した.昭和61年には,霊長類学専攻として専攻独立を果たした.その後,平成5年の大学院重点化改組を受けて,理学研究科の協力講座と位置づけられて,生物科学専攻のなかの霊長類学系となった.なお平成20年度からは,野生動物研究センターが発足したのを受けて,これと協力して,「霊長類学・野生動物系」と名称を変更して後進の育成に努めている.

本年報の発行にあたって,平成20年度の教員の交代について述べる.年度当初に江木直子(系統発生分野)が助教として赴任した.年度途中に,香田啓貴助教(認知学習分野),古賀章彦教授(ゲノム多様性分野),林美里助教(思考言語分野),辻大和助教(社会進化分野),足立幾磨特定助教(思考言語分野)が新たに赴任し,濱田穣(進化形態分野)が教授に昇任した.一方,平成20年度末に,2人の教員が定年退職を迎えた.林基治教授,三上章允教授である.入れ替わりに,新たに3教授が平成21年度当初から赴任した.髙田昌彦教授(統合脳システム分野),中村克樹教授(高次脳機能分野),明里宏文教授(人類進化モデル研究センター・比較免疫微生物領域)である.なお,技術職員の南雲純治が定年退職を迎え,国際共同先端研究センターに再雇用された.いわゆる団塊の世代の退職の時期を迎えて,近年,研究所の教職員構成の変化が著しい.フレッシュなメンバーの加入によって,霊長類学は更なる発展を遂げるだろう.

変わるべくして変わるものがある.その一方で,研究所の不易の指針を堅持したい.すなわち,霊長類研究所が志向するところは,人間を含めた霊長類に関する学術的研究を通じて,「人間とは何か」「人間はどこからきたのか」という問いに答えるべく,人間の本性とその進化的起源を解明することである.先人の積み上げてきた成果を基礎に,さらなる研究と教育と社会貢献を期して,所員一同が努力を続けている.

(文責:松沢哲郎)

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