京都大学霊長類研究所 年報
Vol.38 2007年度の活動
IX NBRPの活動
平成19年度より, 5年間の計画で第2期ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP) が開始され, 霊長類研究所は生理学研究所を中核機関とする「ニホンザル」プロジェクトにサブ機関として参加することとなった. 第2期はニホンザルの全国研究者への本格的な供給体制を確立することを目標としている.
善師野地区の第2キャンパスで展開している研究所の大型プロジェクト「リサーチリソースステーション(RRS) 」では環境共存型大型放飼場の設置などの基盤整備がほぼ終了した. このことにより研究所の目ざす多様な霊長類研究の推進とともに, NBRPでの全国へのニホンザル供給を実現するための繁殖・育成を進めることが可能となった. このため, ニホンザル毋群の導入を急ぐ必要があり, 全国各地において地域個体群の実態調査をおこなった. その中で可能な群れから順次毋群として導入をおこなった. 2007年12月に野生ニホンザル10頭を研究捕獲し導入, 引き続き2008年3月には有害鳥獣捕獲された50頭の野生群の導入をおこなった. また民間会社で飼育されるニホンザル50頭については, 譲渡が可能となり, 毋群として研究所に導入することとした. 現設備での飼育可能総数は250頭でありまだ毋群導入は計画途上であることから, 引き続き導入をおこないRRS, NBRP両プロジェクトを推進していく必要がある.
平成19年度は, NBRP全体で約50頭のニホンザルの供給がおこなわれたが, 霊長類研究所は体制の整備が整わず19年度の供給は見送ることとなった. 研究所で平成18年度までに導入されたニホンザルは約50頭であるが, すでに25頭のコザルが生まれている. また新たに導入した毋群からの繁殖も予定されている. これらの繁殖・育成サルは20年度より順次供給していくこととなり, 20年度には20頭の供給を予定している.
平成19年度のNBRP予算では, 飼育や毋群調査の費用の他に, 追加として検疫舍関係の給排水の整備が認められ, 施設棟の関連部分とともに給排水設備が一新された. 検疫を始めサル類の健康管理に貢献できるものである.
(文責: 景山節)
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