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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2006年度 - III 研究活動 社会構造分野

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.37 2006年度の活動

III 研究活動

社会構造分野

半谷吾郎(助教授),杉浦秀樹(助手)

鈴木真理子(大学院生),金子陽子(技術補佐員)

藤田志歩(非常勤研究員)

<研究概要>
A)東南アジア熱帯林の霊長類群集生態学

半谷吾郎

世界でもっとも生物多様性の高い森林である東南アジア・ボルネオ島の熱帯雨林での霊長類の共存のメカニズムを明らかにするため,マレーシア・サバ州ダナムバレー森林保護区での昼行性霊長類5種(オランウータン,ミュラーテナガザル,クリイロコノハザル,カニクイザル,ブタオザル)の密度センサスと結実フェノロジーの調査を2006年9月から毎月行っている.また,2006年12月からはクリイロコノハザルの行動観察による調査を開始し,食性,活動時間配分,利用している木の高さなどの資料を収集した.

B)ニホンザルとバーバリマカクの生態学的特性の比較

半谷吾郎

温帯に生息する霊長類の生態学的特性を明らかにする目的で,ニホンザルとバーバリマカクの比較を行った.モロッコのバーバリマカク生息地で,主要樹種および主要食物樹種の葉の採取を行い,栄養成分とタンニン含有量を分析した.同様の分析を屋久島のニホンザル生息地についても行い,その結果を比較することで,繊維性食物の消化能力を比較した.

C)ニホンザルの個体群動態・生活史・繁殖とその生態学的決定要因の研究

半谷吾郎,杉浦秀樹,鈴木真理子,藤田志歩

宮城県・金華山,鹿児島県・屋久島のニホンザル野生群を対象に,個体群動態の継続調査を実施した.屋久島の瀬切川上流域では,森林伐採と果実の豊凶の年変動がニホンザル個体群に与える影響を明らかにする目的で,調査を継続している.夏季に全国からボランティアの学生を募って一斉調査を行い,識別された5つの群れの構成,地域全体のニホンザルの集団密度,ニホンジカの発見頻度などの人口学的資料を集めた(半谷, 鈴木).また,調査地内の伐採地と一次林内で果実生産量の測定を行った(半谷).屋久島海岸部では,個体識別された10群程度の群れの構成と,西部海岸全域での道路カウントを行った(杉浦, 鈴木).金華山島での繁殖パラメーターに関する解析を行った(藤田).

D)ニホンザルの行動生態学的研究

鈴木真理子, 杉浦秀樹,半谷吾郎

屋久島に生息するニホンザルを対象に,群れの空間的まとまりがいつ,何によって保たれているかを明らかにするため,他個体との位置関係とそれに関連した行動のデータ収集と解析を行った.その結果,群れが広がると視覚的な探索が増え,発声頻度も上がることが示唆された(鈴木).ニホンザルの群れの空間的な広がりや,サブグルーピングを同時個体追跡によって記録し,解析した(杉浦).屋久島上部域と海岸部のニホンザルの間で,体温調節行動,採食中の攻撃的交渉の頻度,社会関係,食物選択の化学的基準などを比較し,体温調節能力のように比較的順応能力の高いものと,社会関係のように可塑性の少ない特徴があることを見出した(半谷).

<研究業績>
原著論文 

1) Barrett, G., Bardi, M., Zavala Guill?n, A., Mori, A., Shimizu, K. (2006) Regulation of sexual behaviour in male macaques by sex steroid modulation of the serotonergic system. Experimental Physiology 91: 445-456.

2) Belay, G., Mori, A. (2006) Intraspecific phylogeographic mitochondrial DNA (D-loop) variation of Gelada baboon, Theropithecus gelada, in Ethiopia. Biochemical Systematics and Ecology 34: 554-561.

3) Hanya, G., Kiyono, M., Yamada, A., Suzuki, K., Furukawa, M., Yoshida, Y., Chijiiwa, A. (2006) Not only annual food abundance but also fallback food quality determines the Japanese macaque density: evidence from seasonal variations in home range size. Primates 47: 275-278.

4) Sugiura, H., Tanaka, T., Masataka, N. (2006) Sound transmission in the habitats of Japanese macaques and its possible effect on population differences in coo calls. Behaviour 143(8): 993-1012.

5) Tashiro, Y. (2006) Frequent insectivory by two guenons (Cercopithecus lhoesti and Cercopithecus mitis) in the Kalinzu Forest, Uganda. Primates 47(2): 170-173.

6) Tsuji, Y., Fujita, S., Sugiura, H., Saito, C., Takatsuki, S. (2006) Long-term variation in fruiting and the food habits of wild Japanese macaques on Kinkazan island, northern Japan. American Journal of Primatology 68(11): 1068-1080.

報告 

1) 五百部裕, 伊谷原一, 田代靖子 (2006) Lola ya bonobo(ボノボの楽園)の現状 . 霊長類研究 22(1): 37-41.

2) 半谷吾郎 (2006) マレーシアサバ州・ダナムバレー森林保護区での霊長類の予備調査. 霊長類研究 22(2): 147-149.

3) 半谷吾郎 (2006) モロッコ・中アトラス地域でのバーバリマカクの保全をめぐる問題と調査許可の取得. 霊長類研究 22(1): 43-49.

書評 

1) 半谷吾郎 (2006) 大井徹(2004)「獣たちの森 日本の森林/多様性の生物学シリーズ③」東海大学出版会. 日本生態学会ニュースレター 9: 5.

著書(分担執筆) 

1) 田代靖子 (2006) 「誰」の遺伝子?-ヒト遺伝子の混入問題-.「遺伝子の窓から見た動物たち-フィールドと実験室をつないで-」 : 281-283, 京都大学学術出版会.

学会発表等 

1) Hanya, G., Matsubara, M. (2006) Food condition, competitive regime, and female social relationships in Japanese macaques: within-population variation in Yakushima. 21st Congress of the International Primatological Society (Jun. 2006, Entebbe, Uganda).

2) 藤田志歩, 杉浦秀樹, 佐藤静枝, 高橋弘之, 辻大和, 風張喜子 (2006) 金華山における野生ニホンザルメスの繁殖パラメータ:順位および個体数変動の影響. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 大阪) 霊長類研究 22 Suppl: S-15.

3) 揚妻直樹, 揚妻-柳原芳美, 大谷達也, 杉浦秀樹 (2007) 屋久島西部林道で見られた拡幅工事計画中止後の道路景観変化. 第54回日本生態学会大会 (2007年3月, 松山).

4) 下岡ゆき子, 杉浦秀樹, 辻大和 (2007) 金華山島のニホンザルにおける,群れの広がりと発声の関連. 第54回日本生態学会大会 (2007年3月, 松山).

5) 親川千紗子, 親川千紗子, 香田啓貴, 杉浦秀樹, 正高信男 (2007) テナガザルにおける音声の変異性. 霊長類研究所共同利用研究会「アジア霊長類の生物多様性と進化」 (2007年3月, 犬山).

6) 親川千紗子, 香田啓貴, 杉浦秀樹 (2007) テナガザルの音声の変異性. 第143回日本動物心理学会例会 (2007年3月, 名古屋).

7) 杉浦秀樹, 田中俊明, 揚妻直樹, 早川祥子, 香田啓貴, 柳原芳美, 半谷吾郎, 藤田志歩, 松原幹, 宇野壮春, 清野美恵子, 鈴木真理子, 西川真理, 室山泰之 (2006) 屋久島におけるニホンザルの個体数変動. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 大阪) 霊長類研究 22 Suppl: S-17.

8) 杉浦秀樹, 田中俊明, 揚妻直樹, 早川祥子, 香田啓貴, 早石周平, 柳原芳美, 半谷吾郎, 藤田志歩, 松原幹, 宇野壮春, 清野未恵子, 鈴木真理子, 西川真理, 室山泰之 (2007) 野生ニホンザルの個体数変動. 第54回日本生態学会大会 (2007年3月, 松山).

9) 鈴木真理子 (2006) 他個体との近接と関連した見回しとクーコール. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 大阪).

10) 鈴木真理子 (2006) 他個体との近接と関連した見回しと発声の頻度. 第25回日本動物行動学会大会 (2006年10月, 岡山).

11) 田中俊明, 杉浦秀樹, 揚妻直樹, 揚妻-柳原芳美, 藤田志歩 (2006) 屋久島西部林道における野生ザルの餌付き方の調査報告. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 大阪) 霊長類研究 22 Suppl: S-19

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