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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2006年度 > I 巻頭言

京都大学霊長類研究所 年報 

Vol.37 2006年度の活動

I 巻頭言

所長 松沢哲郎

2006年度(平成18年度)の研究所の年報をお届けします.年報は,当該年度の研究・教育ならびに社会貢献の活動を網羅したもので,自己点検報告書としての位置づけをしています.既刊の年報については,研究所のホームページで公開しています.

本年度は,2004年度(平成16年度)に国立大学法人化されて3年目にあたります.同時に始まった,いわゆる中期目標・中期計画の6年間でいえば,ちょうど前半の3年間が経過したことになります.

霊長類研究所の本年度の最大の進展として,中期目標・中期計画の最重要課題であった「リサーチ・リソース・ステーション(RRS)」の第一期工事が,本年度末に竣工しました.「自然の里山を生かした環境共存型飼育施設」で,サル類の飼育繁殖と多様な霊長類研究を支援します.

来年2007年度に,本棟の耐震改修工事を施工することが決定しました.本棟は,建築されてから約40年が経過しています.第1期から第4期までの工期で徐々に増築されて今日の姿があります.しかし耐震診断の結果,その補強工事が必要と判断されました.本棟は,地上5階,地下1階の建物で,約6000平米,合計216室あります.そのすべてを一時的に退去して工事をする必要があります.2007年度は研究所にとって,きわめて厳しい試練の年になります.しかし,本工事によって建物の耐震機能が向上するだけでなく,念願であった人間とサル類の同居を解消した「ゾーニング」が果たされます.全所員の理解と協力を得てこの難局に対処し,新たな研究の進展を図る所存です.

本年度は,ベネッセコーポレーションのご寄附により寄附講座が10月1日に発足しました.比較認知発達(ベネッセコーポレーション)研究部門です.期間は5年間で,人間の認知機能や親子関係の発達の霊長類的基盤を探る研究をおこないます.さらに2007年度には,三和化学研究所のご寄附により,長寿と福祉を対象とした新たな寄附講座が誕生する予定です.また,野生生物保全および動物園との連携を視野に入れた「野生動物研究センター(仮称)」構想を新たに検討しています.

本年度末をもって,相見満先生が停年退職を迎えました.霊長類の系統研究に対する多年のご尽力に対し,深く感謝いたします.一方,5名の教員を新たに迎えることができました.着任順に,宮部貴子さん,半谷吾郎さん,佐藤弥さん,林美里さん,西村剛さんです.いずれも若くて将来の嘱望される研究者です.

本研究所は,1967年6月1日に,全国共同利用の研究所として京都大学に附置されました.創立40周年を迎えます.また,その翌年には,「日本の霊長類学」発足60周年を迎えようとしています.今西錦司さんが京大の学部学生たちを連れて,宮崎県の幸島で野生ニホンザルの観察を始めたのが1948年でした.

こうした節目の年を迎える中で,新しい建物と,清新なスタッフによって,霊長類学の国内および国際的な研究拠点としての期待に応えていきたいと思います.今後とも,霊長類研究所の活動を温かく見守っていただきますよう,よろしくお願いいたします.

所長 松沢哲郎

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会