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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2005年度 > X 共同利用研究・研究成果-自由研究 41~45

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.36 2005年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 自由研究 41~45

41 チンパンジーの繁殖特性に地域差をもたらす要因の検討

藤田志歩(医薬基盤研究所・霊長類センター)

対応者:清水慶子

野生チンパンジーでは,性成熟年齢や出産間隔などの繁殖パラメータが地域個体群によって異なることが報告されている.本研究は,チンパンジーの繁殖特性に影響を及ぼす環境要因とそのメカニズムを明らかにすることを目的とした.生息地の生態学的要因が栄養状態を介してチンパンジーの繁殖能力に影響を及ぼすと予測して,野生チンパンジーの活動,採食品目,および糞中生殖関連ホルモン濃度をマハレ(タンザニア共和国)とボッソウ(ギニア共和国)で比較した.とくに,季節による環境要因の変動とその影響について調べた.

本年度は,両地域において雨季に採集した糞サンプルを用いて,生殖関連ホルモンの抽出および濃度測定を行った.その結果,卵胞期のエストロゲン濃度,および黄体期のプロゲステロン濃度はボッソウよりマハレの方が低いことが明らかとなった.これまでに乾季に採集した糞サンプルでも同様の結果が得られていることから,季節に関わりなく,マハレでは卵巣の活動が抑制されていることが明らかとなった.今後,両地域におけるチンパンジーの食物環境の違いと季節による変動について明らかにするため,行動観察データからチンパンジーの活動および食物について分析を進める予定である.

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43 類人猿の胸郭骨格構造の機能形態学的研究

加賀谷美幸 (京都大・理)

対応者:國松豊

現生霊長類の胸郭の形態を定量的に分析し,ポジショナルビヘイビアとの対応を検討することを目的に,霊長類研究所,日本モンキーセンター所蔵の骨格標本計44個体の骨格を計測した.各標本の奇数番目の肋骨について,肋骨一対を対応する二つの胸椎に組み合わせて固定し,直交する二方向からの写真を撮影して胸郭骨格の概形データを取得した.撮影画像上のピクセル座標を利用して,椎体の中心から肋骨を通って肋骨の腹側端に至る仮想ラインを三次元ベジェ曲線に近似させて比較した.対象は,テナガザル,パタスモンキー,アヌビスヒヒ,カニクイザル,ブタオザル,サバンナモンキー,クモザル,ウーリーモンキー,ホエザル,オマキザル,キツネザルを選び,大型類人猿やシルバールトン,テングザル,インドリ,シファカのデータ77個体分とあわせて分析を行った.類人猿では,椎体中心から背側へ向かって肋骨が大きくふくらむように伸びる特徴が全肋骨を通して顕著であり,この点で他の霊長類と異なることが裏付けられた.加えて,類人猿の第3~9肋骨の腹側部は正中方向に向いて強く湾曲する特徴が認められた.この特徴はクモザルの第3~11肋骨,ウーリーモンキー,シルバールトン,テングザルの第3,第5肋骨にも弱いながらも観察できた.対照的にパタスモンキーの第3,第5肋骨は腹側での湾曲が弱く,より下方に伸びていた.このような形態の相違点はポジショナルビヘイビアの違いに対応している可能性が考えられる.

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45 単独飼育マカク類を対象とした感覚運動訓練としての感覚エンリッチメントの効果

森村成樹((株)林原生物化学研究所・類人猿研究センター

対応者:上野吉一

受動的な刺激に最も感じやすい受容器である触知性の刺激を与える感覚エンリッチメントを実施し,単独飼育マカク類の覚醒水準低下に対する症状改善の効果を調べた.人間での訓練方法(Webb, 1969)のうち,触覚を刺激する操作として「条件1)タオルで拭く,条件2)ブラッシングする,条件3)肩たたきで叩く,条件4)氷で冷やす,条件5)手でなでる」を実施した.被験体は京都大学霊長類研究所の大型個別ケージで飼育されているニホンザル3個体とアカゲザル2個体とした.実験者が対象個体の身体を触れることに十分慣らした後,動物の手や足,胴体などを格子越しに刺激した.各条件ついて,1日1条件,1セッション1時間とし,5日間連続しておこなった.その結果,マカク1個体を除くすべての個体が,呈示条件に対して忌避的反応を示した.1個体のみ,刺激に対して手を伸ばすなどを試みた.実験前後の活動性の比較では,1個体を除き活動性に有意差はなかった.マカク1個体のみ刺激呈示直後に活動性が増加した.以上から,触知性の感覚エンリッチメントは好悪の反応を引き出す効果があり,活動性にも短期的影響を与えることが示唆された.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会