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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2005年度 - III 研究活動 遺伝子情報分野

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.36 2005年度の活動

III 研究活動

遺伝子情報分野

平井啓久(教授),今井啓雄(助教授),中村伸(助手),浅岡一雄(助手)

光永総子(教務補佐員)

平井百合子(技能補佐員)

橋本寛之,五島縁(技術補佐員)

天野(早野)あづさ(非常勤研究員・流動部門)

和田晃(受託研究員)

田中美希子,Jeong A-Ram,村田貴朗(大学院生)

研究概要
A-1) テナガザルの多様性と生物地理学的研究

平井啓久, 早野あづさ(流動部門非常勤研究員), Hery Wijayanto (ガジャマダ大学講師), Dyah Perwitasari-Farajallah (ボゴール農科大学講師), Yong Hoi Sen (マラヤ大学名誉教授)

スマトラ島とマレー半島間のテナガザルの分子生物地理学的解析を行う目的で,両地域におけるアジルテナガザル,シロテテナガザル,シャーマンの試料集収を行い,染色体とDNAの抽出を行った.

A-2) テナガザルの属間雑種の研究

平井啓久, 平井百合子,早野あづさ

動物園で誕生した雑種個体の性状を科学的に明らかにするため,染色体,DNA,毛色パタンの解析を行った.染色体と毛色分析から雑種個体の母親はシロテテナガザル,父親はホオジロテナガザルと診断した.

A-3) ヨザルの染色体変異の解析

平井百合子, 平井啓久

研究所内に飼育されているヨザルの染色体数の異なる(2n=53,2n=50)異種間雑種の4個体の染色体を精査したところ,トリソミー,モザイク,縦列重複がそれぞれ各個体に認められた.

A-4) マーモセット類の双児間血液キメラの解析

平井百合子, 平井啓久

コモンマーモセットの雌雄双児の抹消血,脾臓,肺,皮膚の培養細胞ならびにオス精巣におけるキメラ状況を解析した.

A-5) HERV配列のゲノム内分布解析

Kim Heui Soo (外国人客員助教授), 平井百合子, 平井啓久

各種霊長類におけるヒト内在性レトロウイルス (HERV) F, H, およびWファミリーのゲノム内分布を,蛍光インシツーハイブリダイゼーション (FISH) 法を用いて調べた.

A-6) チャイロキツネザル種間雑種集団の生態学的および遺伝学的研究

田中美希子, 田中洋之(集団遺伝分野), 平井啓久

マダガスカルのベレンティ私設保護区に生息するチャイロキツネザル雑種集団の雑種化の状況を調査することを目的として,雑種集団 とその創始者である2種の純粋集団を比較し,染色体数と染色体構成の分析結果をまとめた.また,ミトコンドリア D-loop 領域の塩基配列分析,および AFLP(増幅 DNA 断片長多型)分析の条件設定をおこ なった.

A-7) 新世界ザルの分子細胞遺伝学的研究

村田貴朗, 平井百合子, 今井啓雄, 平井啓久

新世界ザルのY 染色体進化を明らかにすることを目的として,新世界ザル3種(コモンマーモセット,ワタボウシタマリン,コモンリスザル)の染色体標本から顕微切断法を用いてY 染色体を単離し,DOP-PCR法によりY 特異的彩色プローブを作製した.現在,このプローブを用いて,種間比較およびDNA 断片の塩基配列決定を行っている.

B-1) 霊長類の感覚に対する分子レベルからのアプローチ

今井啓雄

様々な霊長類の主に視覚・嗅覚などの受容体の生物物理化学的理解を目指し,遺伝子クローニングとタンパク質機能解析などの実験環境を整えた.

C-1) 霊長類機能遺伝子の網羅的発現プロファイルに関する研究

中村 伸, 光永総子, ジョン・アラム,橋本寛之

霊長類の機能ゲノム特性を明らかにする一環として,胎仔・新生仔・成熟・加齢個体における主要機能遺伝子の発現プロファイルを,DNAチップおよび Real Time RT-PCRで継続展開している.

C-2) 霊長類でのバイオメディカル研究

中村 伸, 光永総子, 橋本寛之,Jeong A-Ram

サルモデルを活用した以下のバイオメディカル研究を展開している.i) 疾病(ガン・糖尿病)個体における特定機能遺伝子の探索など,疾病に関わるゲノムイベントを検討している.ii) OVX閉経サルモデル作出し,機能性食品(ダイズ成分)の加齢性機能障害の予防・治療作用をゲノム・バイオメディカルの視点で調べている.iii) 腸内細菌叢(フローラ)の動態について糞便を用いたPCR解析法を検討している.

C-3) サルBウイルスおよび関連ヘルペスウイルスに関する研究

光永総子, 中村 伸, リチャード・エバリー(オクラホマ大)

HVP2-ELISAの改良法を確立し,飼育下マカクサルのストレス負荷に伴うBVの再活性化ならびに各地ニホンザル野外群におけるBVの自然感染率を調査している.

C-4) 組織因子(Tissue Factor : TF, CD142)に関する分子細胞生物学的研究

中村 伸

TFの低酸素応答(hypoxia response)などについて,in vitroおよびex vivo双方から検討している.また,TF制御系のTFPIについてヒト化に伴うTFPI遺伝子発現の特異的down-regulationを調べている.

C-5) 霊長類の免疫関連遺伝子の発現特性に関する研究

ジョン・アラム,中村伸

サイトカインおよびその受容体遺伝子の発現比較から,カニクイザルが近縁マカクと異なるIFN-γ/IFNγ-R反応系を持つ可能性が示唆された.

D-1) 霊長類の胎生期における分子発現および転写調節の研究

浅岡一雄, 五島 縁, 釜中慶朗(人類進化モデル研究センター), 鈴木樹理(人類進化モデル研究センター), 脇田真清(行動発現分野)

環境化学物質の霊長類への影響は胎生期に特に大きいことが知られた.このため,霊長類の胎生発達期における分子発現や転写調節を明らかにするためにグロビン分子および転写因子などについて調べている.

D-2) 植物エストロゲンの癌細胞や骨代謝への生理的影響の研究

浅岡一雄, 五島 縁, 濱田 穣(形態進化分野)

タイ国立チュラルンコン大学の研究者との共同研究において植物エストロゲン性ゲニスタインの癌細胞への影響およびタイ薬草の骨代謝への影響を研究している.植物ゲニスタインおよびタイ薬草の癌細胞や骨細胞への生理的有効性,これら植物成分のエストロゲン作用や代謝などを解析した.

D-3) エストロゲン性環境化学物質代謝の霊長類での研究

浅岡一雄, 五島 縁

エストロゲンの性質をもつ環境化学物質の体内代謝を解析するため霊長類のフタル酸エステル分解酵素について名城大学の研究者との共同研究において調べた.

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研究業績
原著論文
  1. Go, Y., Rakotoarisoa, G., Kawamoto, Y., Shima, T., Koyama, N., Randrianjafy, A., Mora, R., Hirai, H. (2005) Characterization and evolution of major histocompatibility comple class I genes in the aye-aye, *Daubentonia madagascariensis*. Primates 46(2): 135-139.
  2. Hirai, H., Wijayanto, H., Tanaka H., Mootnick, A., Hayano, A., Perwitasari-Farajallah D., Iskandriati D., Sajuthi, D. (2005) A whole-arm translocation (WAT8/9) separating Sumatran and Bornean agile gibbons, and its evolutionary features. Chromosome Research 13: 123-133.
  3. Kim, H., Yi, J., Hirai, H., Huh, J., Jeong, M., Jang, S., Kim, C., Saitou, N., Hyun, B., Lee, W. (2006) Human endogenous retrovirus (HERV)-R family in primates: chromosomal location, gene expression, and evolution. Gene 370: 34-42.
  4. Ohira, K., Kumanogoh, H., Sahara, Y., Hommma, K., Hirai, H., Nakamura, S., Hayashi, M. (2005) A truncated tropo-myosine-related kinase B receptor, T1, regulate glia cell morphology via rho GDP dissociation inhibitor 1. Journal of Neuroscience 25: 1343-1353.
  5. Ohira, K., Homma, K., Hirai, H., Nakamura, S., Hayashi, M. (2006) TrkB-T1 regulates the Rho A signaling and actin cytoskeleton in glioma cells. Biochemical and Biophysical Research Communications 342: 867-874.
  6. Wijayanto, H., Hirai, Y., Kamanaka, Y., Katho, A., Sajuthi, D., Hirai, H. (2005) Patterns of C-heterochromatin and telomeric DNA in two representative groups of small apes, the genera *Hylobates* and *Symphalangus*. Chromosome Research 13: 717-724.
総説
  1. 中村伸 (2005) 組織因子(Tissue Factor, CD142)の基礎と臨床:TFのゲノム特性および好中球TF. 図説血栓・止血・血管学 : 353-361.

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報告
  1. 中村伸, 光永総子, A-Ram Joeng., 山内英典, 林 隆志, Joseph Gebriel. (2005) 大豆食品・成分による加齢性機能障害および生活習慣病の予防効果:サルモデルでのゲノム医生物学的研究(第二報). 大豆たん白質研究 8: 1-7.
解説
  1. 中村伸 (2006) 組織因子(凝固第VII因子). 血栓症ナビゲーター : 48-49.
分担執筆
  1. Inoue-Murayama, M., Hibino, E., Matsuzawa, T., Hirata, S., Takenaka, O., Hayasaka, I., Ito, S., Murayama, Y. (2006) The application of a human personality test to chimpanzees and survey of polymorphism in genes relating to neurotransmitters and hormones. “Cognitive Development in Chimpanzees” : 113-124, (ed. Matsuzawa, T., Tomonaga, M., Tanaka, M.) Springer, Tokyo.

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学会発表等
  1. Hirai, H. (2005) Physical and chromosome mapping: BAC mapping. Joint FG/SG network meeting. (Sep. 2005, Bethesda, MD, USA).
  2. Itoh, M., Takumi, K., Kojima, C., Watanabe, G., Taya, K., Hayashi, M., Takenaka, O., Shimizu, K. (2005) Changes of plasma levels of reproductive hormones in adult macaque male monkeys after oral administrations of Diethylstilbestrol (DES). 38th Annual Meeting of Socity for the Study of Reproduction (Jul. 2005, Quebec, Canada).
  3. Mitsunaga, F., Nakamura, S. (2005) B Virus (BV) Specific ELISA using C-Terminal Peptide from BV Glycoprotein D (BV-gD-C-P): Prevalence of BV-gD-C-P Specific Antibodies among BV Positive Macaques. International COE Symposium (Mar. 2005, Inuyama, Japan).
  4. Nakamura, S., Okamoto M. (2005) Tissue Factor Expression in Human Neutrophils. ISTH XXth Congress (Aug. 2005, Sydney, Australia).
  5. Nakamura, S., Mitsunaga F., Yamauchi H., Hashimoto H., Hayashi T., Gabriel J. (2006) Studies on Efficacy of Functional Components in the Traditional Health Food, Soy Bean, Using OVX-Postmenopausal Monkey Model. 2nd Research Conference of Korean Society for Promatology (Jan. 2006, Ochang, Korea).
  6. Taguchi, T., Hirai, H., Hirai, Y., Tominga, A. (2005) Regeneration of Y chromosome probes from monkeys with a small Y by chromosome microdissection. 第77回日本遺伝学会大会 (Sep. 2005, 東京, 日本) Genes & Gewnetic Sysytems 80(6): 456.
  7. 浅岡 一雄, 五島 縁, Kim Cheulkyu., 釜中 慶朗, 鈴木 樹理, 脇田 真清, 平山 幸一, 岡村 浩 (2005) グロビンの胚期・胎児期スイッチング転写因子のクローニングとDNAチップ解析による研究. 第28回日本分子生物学会年会 (2005年12月, 福岡).
  8. 平井啓久, 松林清明, Kim Heui-Soo. (2005) チンパンジーの染色体特性がヒトとチンパンジーの表現型の相違を大きくする機序となるか? 第21回日本霊長類学会大会 (2005年7月, 倉敷市) 霊長類研究 21(Supplement): 14.
  9. 廣瀬勝也, 戸田千登世, 岡本誉士典, 植田康次, 橋爪清松, 浅岡一雄, 小嶋仲夫 (2005) ニホンザル肝カルボキシルエステラーゼの分離と同定. フォーラム2005衛生薬学・環境トキシコロジー大会 (2005年11月, 徳島).
  10. 廣瀬勝也, 戸田千登世, 岡本誉士典, 植田康次, 橋爪清松, 浅岡一雄, 小嶋仲夫 (2005) ニホンザル肝由来フタル酸エステル分解酵素の性状. 日本薬学会東海支部大会 (2005年7月, 岐阜).
  11. 廣瀬勝也, 戸田千登世, 岡本誉士典, 植田康次, 小嶋仲夫, 浅岡一雄 (2005) フタル酸エステル類のエステル交換反応に関与するサル肝由来酵素の特徴. 日本薬学会東海支部大会 (2005年12月, 名古屋).
  12. 市野進一郎, 川本芳, 宮本直美, 小山直樹, 平井啓久 (2007) マイクロサテライトDNAマーカーを用いたワオキツネザルの父子判定. 第21回日本霊長類学会大会 (2005年7月, 倉敷) 霊長類研究 21(Suppl.): S8.
  13. 伊藤麻里子, 託見健, 森琢磨, 児嶋千尋, 渡辺元, 田谷一善, 林基治, 竹中修, 清水慶子 (2005) 合成エストロゲンがオス成熟マカクサルの内分泌機能に及ぼす影響について. 第21回日本霊長類学会大会 (2005年7月, 倉敷市) 霊長類研究 21: S-35.
  14. 光永総子, 中村 伸 (2005) サルBウィルス特異的抗体測定法 (BV glycoprotein D-C末端ペプチドELISA)の確立及びその応用. 第52回日本実験動物学会 (2005年5月, 東京).
  15. 光永総子, 中村 伸 (2005) サルBウィルス(BV)の glycoprotein D C末端ペプチドを抗原とするBV特異的抗体測定ELISA法の展開. 第21回日本霊長類学会 (2005年7月, 倉敷).
  16. 中村伸, 光永総子, 西濱啓一郎 (2005) DNAマイクロアレイを活用した網羅的な霊長類機能遺伝子発現プロファイリング. 第21回日本霊長類学会 (2005年7月, 倉敷).
  17. 中村伸, 光永総子, 西濱啓一郎 (2005) 実験用霊長類の機能遺伝子の網羅的発現プロファイリング:ヒトDNAマイクロアレイ(CodeLink 20K)を活用した解析. 第52回日本実験動物学会 (2005年5月, 東京).
  18. 中村伸, 光永総子, 山内英典, Joeng A-Ram., 橋本寛之, 林 隆志 (2005) 霊長類モデルを活用した機能性食品(ダイズ食品・成分)の体調作用の評価および有効成分の特定. 第8回日本補完代替医療学会 (2005年11月, 東京).
  19. 田中美希子, 田中洋之, 平井百合子, 平井啓久 (2006) チャイロキツネザル種間雑種個体群の染色体分析. 第53回日本生態学会大会 (2006年3月, 新潟) 第53回日本生態学会大会講演要旨集 : 355.

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講演
  1. 今井啓雄 (2006) 錐体光受容蛋白質分子の性質と視細胞応答. 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻セミナー (2006年3月, 東京).
  2. 中村伸 (2005) 癌とTissue Factor (CD142). 第28 回日本血栓止血学会・シンポジウム (2005年11月, 福岡).
特許
  1. 中村伸 (2005) 特許出願 「サルモデルで薬効が確認された骨粗鬆症の予防又は治療剤」 特願2005-240812(出願者,京都大学). .

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