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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2004年度 > I 巻頭言

京都大学霊長類研究所 年報 

Vol.35 2004年度の活動

I 巻頭言

所長 茂原信生

10数年前から,自己点検・評価を行うことが各大学や各部局で定着し,それぞれの部局の発展に役立てているという状況がしばらく続いていました.ところが,昨年の国立大学の独立法人化にともなって各大学や部局の中期目標や中期計画が策定され,それを中心とした自己点検・評価が行われるようになりました.各大学を評価する大学評価・学位授与機構なる独立行政法人も作られています.その評価方法は未だに確立したものではありませんので,まだしばらくは模索が続くでしょう.

霊長類研究所は,1967年(昭和42年)の設立以来,毎年この年報を発刊しています.これは研究所がどのような研究を行い,どのような事業を行っていて,どのような成果をあげているか,そしてどのような方向に行こうとしているのかを示すものです.これ以上の自己点検・評価はないのではないかと思っています.それほどの自負心を持ってこの年報を送り出しています.これは独立法人化してもかわりません.

ここ2年,霊長類研究所では,年報とは別に研究業績を中心とした自己点検・評価を行いました.それらは主として英語の業績を評価するものでした.この年報では,それらに加えて日本語で書かれた業績も詳細に掲載しています.これらも業績として非常に重要なものです.グローバル・スタンダードなどといって研究の世界を統一の基準で考えようとするのはどこか間違っています.それぞれの研究分野にはそれぞれの特徴があってもいいのです.それらの評価も忘れないようにしなければなりません.この年報はそれも可能にします.

独立法人化とともに,効率化係数と称する予算の削減が毎年行われることになり,研究環境は次第に厳しいものになりつつあります.一般の評価が「効率」を重視する流れのなかで,基礎的な研究を主に行う霊長類研究所にとっては,けっして楽な時代ではありません.

今年度は現役の教授2名がなくなるというたいへんな事態を迎えてしまいました.それでなくとも霊長類研究所では,ここ数年のうちに多くの教員が定年で交代し,研究所は大きく変わっていこうとしています.この年報を通して研究所の現状と方向を明らかにし,それに対してのみなさんからの忌憚のないご意見,ご批判をいただきたいと思います.それによって霊長類の研究をいっそう推進していくことが可能になるだろうと考えています.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会