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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2003年度 > X 共同利用研究 2. 研究成果-所外貸与1-3

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.34 2003年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 所外貸与(新規)1-3

所外貸与1 マカクザル大脳皮質における視覚情報の分散処理の研究

花沢明俊(九工大・院生命体)

マカクザル大脳皮質視覚関連領野における視覚情報処理について,並列分散型情報処理の観点から実験を行った.視覚画像中のエッジとテクスチャーは,視覚系において異なった経路で処理されていることが心理学的,情報論的知見から示唆されているが,その神経対応はまだ明らかにされていない.本研究では,このようなまだ解明されていない分散処理経路について明らかにするため,マカクザル視覚関連領野の神経細胞が示す視覚刺激特異性を調べた.

マカクザルには注視課題を学習させ,課題遂行時に大脳皮質視覚関連領野より単一神経細胞の視覚応答を金属微小電極によって記録した.エッジ刺激,テクスチャー刺激,バンドパスランダムノイズなどを視覚刺激として用い,各細胞の刺激特異性を調べ,V1,V2,V4野などの領野間で,刺激特異性がどのように異なるかを調べた.現在実験は継続中であり,エッジおよびテクスチャーに関する情報処理が異なった経路に分かれるか否か,どの情報処理段階で分かれるのか,処理経路が異なった領野に分岐するのかあるいは同じ領野内の下部構造として分岐するのか,といった点に注目しデータ採取および解析を行っている.

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所外貸与2 霊長類視覚連合野の機能と構造: TEO野における視覚反応の空間分布

藤田一郎(大阪大・院・生命機能),池添貢司(大阪大・院・基礎工),田村弘(大阪大・院・生命機能)

サルの下側頭葉皮質後半部TEO野は,視覚物体認識に関わる腹側視覚経路において, V4の次段階,TE野の前段階に位置する.本研究では,TEO野における視覚刺激や刺激呈示位置の表現様式を調べるために,麻酔不動化されたサルに様々な図形を呈示し, TEO野の背側領域において内因性光学信号と細胞外活動電位の記録を行った.視覚刺激(視野角4度以下)を,中心視領域または偏心度12度の4点のうち1点に呈示した. 刺激呈示により,視覚刺激の種類に依存した空間分布をもつ内因性信号が計測された.刺激呈示位置により信号の強度が変化し,位置によっては反応を誘発しなかった.同じ視覚刺激が2ヶ所以上の呈示位置で信号を誘発した場合には,TEO野内での内因性信号の空間分布は互いに似ていた.ある刺激に対して強い光学信号が誘発された領域の神経細胞の多くは,その刺激に対してスパイク発火頻度の増加を示すものの,個々の細胞の受容野は小さく,上の5点を含まないことも多かった.以上の結果は,(1)TEO野への視覚入力は刺激の種類に依存した空間分布を持つ,(2)TEO野内で入力を受ける領域は刺激呈示位置に依存している,(3)個々のTEO細胞は入力細胞群の受容野の総和より小さな受容野を形成している,(4)TEO野の細胞は受容野外からの刺激依存的な入力を受けることを示唆する.

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所外貸与3 随意性眼球運動における運動性視床の役割

田中真樹(北海道大・医・統合生理)

運動性視床には脳幹・小脳・基底核の信号を大脳皮質に伝える上行性運動経路の中継ニューロンが多数存在することが解剖学的に明らかにされている.これらのもつ信号を知ることは健常および皮質下病変での運動の制御機構を理解する上で重要である.昨年度に引き続き,眼球運動に関連した単一ニューロン活動を訓練したサルの運動性視床から記録した.これらのニューロンは前後方向に帯状に分布しており,眼球位置あるいは滑動性眼球運動に応答するものの一部はその電極位置からVL核群に存在していると予想される.また,サッカードに応答するものの半数は眼球運動に先行して活動を変化させ,多数の細胞では視覚誘導性よりも記憶誘導性課題で大きな活動を示した.これらは大脳基底核からの入力をうけていると考えられ,眼球運動系においても他の運動と同様に基底核の信号が大脳皮質に送られている可能性が示唆される.さらには記憶誘導性サッカード課題の遅延期間中に発射を斬増させる一群の細胞が見いだされ,その時間経過は運動のタイミングを正確に予測していた.今後は記録された神経活動にさらに詳しい定量解析を行なうとともに,組織学的に記録部位を確認する必要がある.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会