この年度の自己点検・評価委員会は,メンバーの全員が前年度から継続し,前年度に策定した具体的な課題事項を次々と実行に移していく作業に努めた.前年と同様,毎月,定例で委員会を開催し,前年度に作成した課題事項を進展状況にそくして随時,必要な軌道修正をはかり,達成事項のフィードバックしていった.定例の委員会は特に議題がないときも開くよう努め,随時,研究所に届く国立大学の独立行政法人化問題に関連する諸資料やニュース類,大学評価・学位授与機構によって進められる大学評価の実態や進捗状況や前年度の評価資料,全国の研究機関から送られてくる自己点検・評価報告書類等を回覧しながら,本委員会の将来の任務を検討していくために,情報交換や意見交換をした.その過程で析出してきた将来の自己点検・評価委員会像については,申し送り事項として,次期の委員会に引き継いだ.昨今の情勢に鑑み,これから本委員会の役割が増し,より大きな多方面にわたる任務が課せられ,それに伴って次第に作業内容が増大していくだろうということ,本委員会の役割として,自己点検作業と評価作業を比較した場合,評価作業には自ずから限界があるため,ともかく各種の自己点検作業のシステムを構築していくのが当面の課題であろうこと,というのが今期の委員会での認識である.
今年度に達成した最大の成果は,なんといっても「京都大学霊長類研究所の研究活動に関する総合的自己点検報告書」を作成したことである.これは当研究所の教官の一人一人が過去5年間の研究実績や研究活動を可能なかぎり広角度で自己点検したものを集大成した報告書である.つまり,ただ研究業績をリストアップするにとどまらず,自らの研究活動の広報や社会に対する還元,それぞれの学界学会での貢献,学術研究体制やネットワークづくりなど,各自の研究活動を包括する体裁となっている.近い将来に研究所そのものに対して,あるいは分野別に行われるはずの外部評価等のためのデータベースとなるよう意図したものである.同報告書は2002年の7月に完成させ,9月になって研究所のホームページに掲載するとともに,霊長類研究所年俸第32号にCD-ROM版を添付することにより公表した.この報告書は毎年更新されるとともに,近い将来,非常勤研究員などを含めた研究所の研究活動も網羅したかたちで,さらなる充実が望まれる.その他に2003年の1月には,平成10年~14年度に受領した「COE形成基礎研究費」で行われた研究活動の中間的自己点検報告書(非公開)を作成した.これはあくまでも中間報告書であり,次期委員会によって改訂されていくのが望ましい.
自己点検・評価委員会:小嶋祥三所長,福井秀昭事務長,東利昭庶務掛長,浅岡一雄,
片山一道(委員長),鈴木樹里,正高信男(副委員長),渡辺邦夫
(文責:片山一道)
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