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ニホンザル野外観察施設

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研究内容

目次

研究保護区の運営

ニホンザルの種形成史と多様な環境への適応のあり方を明らかにするために、以下の5つの代表的な生息環境が研究保護区として設定されています。ニホンザル野外観察施設では、これら各地のサルを含む生態系の保全と、研究のためのベースライン確保に努めています。また、これらの地域以外でもニホンザル全体の保護管理をも含めた幅広い研究活動を行っています。

各研究保護区の場所

ニホンザルの保護・管理への取り組み

ニホンザル個体群の分布および現在の生息状況と、その歴史的な変遷についての検討を行なっています。現在の全国的な分布については、「ニホンザル保護管理のためのワーキンググループ(代表:和田一雄)」が中心となっておこなった調査により、本州についてはほぼ明らかとなっています。四国および九州の調査については,現在実施中です。それと並行して、既存の調査結果のとりまとめを行ない、戦後のニホンザル分布の変遷を明らかにしつつあります。

なお野外施設では、これまでに公表されたニホンザルに関する論文・報告・記事等のデータベースを作成し、ニホンザルに関する情報提供に取り組んでいます。

→ 「ニホンザル文献データベース」

野生動物の被害管理に関する研究

1.人為的環境に依存するニホンザルの土地利用と環境選択

農地周辺に生息するニホンザル複数隣接群を対象として、ラジオテレメトリー法による行動域と環境利用の把握や、異なる環境下における個体群動態の変異をテーマに研究を行なっています。これまでに、農地を利用する集団は大きな行動域を持つ場合があること、出産率の増加や乳児死亡率の低下が見られること、生息環境によって農地に依存する程度や依存度の進行速度が大きく異なることなどを明らかにしつつあります。また、これらの知見をもとに、農地採食を一種の採食戦略とみなした被害管理モデルの検討も行なっています。

2.ニホンザルの行動制御を目的とした応用行動学的研究

被害対象となっている農作物の採食を抑制する方法の一つとして、ニホンザルへの嫌悪条件付けの実験を現在おこなっています。また、農地への侵入を防ぐための物理的障壁の実験もおこなっています。

このページの問合せ先:京都大学霊長類研究所 ニホンザル野外観察施設 渡邊邦夫