大型類人猿に焦点をあてたシンポジウムのご案内をさしあげます。ご承知のように、チンパンジー(およびボノボ)、ゴリラ、オランウータンの3属4種に分類される大型類人猿は、現存するものとしてはヒトに最も近縁な生き物です。かれらは、CITES(サイティース、通称ワシントン条約)において、「絶滅の危機に瀕した種」として分類されています。ヒトはどのような進化をとげたのかを理解するうえで、これら大型類人猿の研究はきわめて重要です。
野生の大型類人猿の生態について、日本をはじめ世界の研究者がこれまで研究を続けてきました。一方、飼育下での研究もおこなわれてきました。一般には、動物園でかれらの姿を見ることができます。野生であるか飼育下であるかを問わず、また研究であるか否かを問わず、大型類人猿に関わる方々に広くご参集いただき、その研究・飼育・自然保護の現状と将来について考える集いを企画しました。
本会は「アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い(Support for African/Asian Great Apes)」と称します。略称は、頭文字をとってSAGA(サガ)です。サガは、英語では、「たくさんのエピソードから成る長い物語」を意味します。チンパンジーについては、1986年に、アメリカ・シカゴ科学院に世界中から結集したチンパンジー研究者が、「チンパンジーの自然保護と飼育のための委員会(略称CCCC)」を組織しました。SAGAは、その精神を受け継ぎ、チンパンジーだけでなくより広く大型類人猿全体を包括し、より広汎な人々を対象にした集いです。
第1回としての今回のシンポジウムは、本年11月19・20日の両日にわたって、犬山の国際観光会館(通称フロイデ)でおこなわれます。「アフリカ大型類人猿の研究・飼育・自然保護」と題して、京都大学霊長類研究所の主催する共同利用研究会ならびにCOE研究拠点形成プログラム国際シンポジウムを兼ねて実施されます。招待講演者として、ジェーン・グドール(英国)、ヤン・ファンホーフ(オランダ)、アレクサンダー・ハーコート(米国)のお三方をお招きしました。国内については、研究者、動物園関係者、大型類人猿に関わる方々に広く呼びかけています。国内外の方々に、研究、飼育、自然保護の取り組みについてそれぞれご報告いただき、意見交換をする場にしたいと思います。