研究所は、本年度4月より大型CT撮像装置(東芝 Asteion 4 Premium Edition)とCT画像データベース(Digital Morphology Museum)の供用を開始した。これらは、共同研究・共同利用拠点の中核的設備と位置づけられている。本研究所は、筋骨格資料のみならず飼育サル類の豊富な研究リソースを有していることから、他の機関ではできないようなCT研究の展開が期待される。今後は、骨格や化石にとどまらず、獣医学や医科学、さらには生体工学的研究にも利用の場を広げていきたい。本研究会は、霊長類研究における生体工学的アプローチのさらなる可能性を探る講演とCTを用いた研究例の紹介により、異分野の交流による新たな研究企画の掘り起こしを目指す。
プログラム・抄録
開催日:2011年3月7日(月)、8日(火)
会場:京都大学霊長類研究所 大会議室
3月7日
13:00 はじめに 平井啓久
霊長類学におけるCT利用について 座長: 西村剛
13:05-13:15 研究所CTと画像データベースの概要
西村剛 (京都大学霊長類研究所)
13:15-13:40 霊長類学におけるCT利用と研究展望
中務真人 (京都大学大学院理学研究科)
CTを利用した獣医学・病理学的研究 座長: 鈴木樹理
13:40-14:00 東京大学動物医療センターにおける小動物診療のCT使用状況
藤原玲奈(東京大学附属動物医療センター)
14:00-14:20 非ヒト霊長類におけるCTを用いた画像診断に関する研究
渡邉朗野、兼子明久、宮部貴子、鈴木樹理(京都大学霊長類研究所)、藤原玲奈(東京大学附属動物医療センター) 、磯和弘一(株式会社日本生物科学センター)
[講演] 霊長類筋骨格モデルの構築と応用 座長: 平崎鋭矢
14:35-15:35 荻原直道(慶応義塾大学理工学部)
[講演] CTを用いた骨格系の力学解析に関する研究 座長: 西村剛
15:45-16:45 坂本二郎(金沢大学理工学研究域)
[講演] 生体内流れをシミュレーションで視る 座長: 西村剛
16:55-17:55 松澤照男(北陸先端科学技術大学院大学情報科学センター)
懇親会 18:00-20:00
3月8日
CTを利用した形態学・古生物学的研究 座長: 高井正成
10:00-10:05 はじめに
10:05-10:25 ニホンザルにおける鼻腔形態の環境地理的変異
伊藤毅(京都大学霊長類研究所)
10:25-10:45 霊長類における脳エンドキャストの体積と最大幅の関係
河部壮一郎(東京大学総合研究博物館)
10:45-11:05 旧世界ザル下顎骨の外側面にみられる骨隆起
近藤信太郎(愛知学院大学歯学部)
11:05-11:25 歯の3次元解析 -特にCTで得られたデータ扱いについて-
清水大輔(財団法人日本モンキーセンター)
11:25-11:45 CT画像を用いたチンパンジーの歯および顎顔面頭蓋の3次元再構築
小川匠、井川知子、齋藤渉、今井奬,野村義明、岡本公彰、桃井保子、花田信弘(鶴見大学歯学部)、兼子明久、渡辺朗野、渡辺祥平、宮部貴子、友永雅己(京都大学霊長類研究所)
昼食 11:45-13:00
CTを利用した機能形態学的研究 座長: 濱田穣
13:00-13:05 はじめに
13:05-13:25 microCTを使った四肢骨関節部内部構造の観察:種間差の同定と技術的な課題
江木直子(京都大学霊長類研究所)
13:25-13:45 ニホンザル椎骨のマイクロCT観察:ヒトとの比較検討
東華岳(岐阜大学大学院医学系研究科)
13:45-14:05 CTを用いた骨の筋付着部の評価
菊池泰弘(佐賀大学大学院医学系研究科)
14:05-14:25 オナガザル族の聴覚器官の機能形態学的進化に関する研究
矢野航(京都大学大学院理学研究科)
14:25-14:30 おわりに