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事業報告事業番号:22-008 マカク属霊長類における頭骨形態の気候環境適応に関する研究 報告者:伊藤 毅 期間:2010/05/23 - 2010/07/24 マカク属霊長類は、熱帯から温帯にかけての広い気候区分に分布する。マカク属において、体サイズや尾長が生息地の気温と相関する例が報告されているが、頭骨形態がどのような気候環境適応を示すのかについては明らかにされていない。本研究は、マカク属における頭骨形態の地理的・時間的変異とその進化的要因を明らかにすることを目的とする。したがって、頭骨形態の地理的変異を明らかにするための野生由来標本と、頭骨形態の年代的変化を明らかにするための頭骨化石を解析する必要があった。さらに、吸気の温度調節を司る鼻腔などの頭骨内部構造に詳しいトーマス・コッペ博士の研究室を訪問することは、今後の研究を方向付ける上で重要であると考えた。 大英自然史博物館、パリ国立自然史博物館、ブリュッセル王立自然史博物館、フンボルト大学自然史博物館、ミュンヘン州立動物学コレクションに赴き、マカク属各種約500標本から計測データを取得した。接触型三次元計測器を用いて、頭骨から約90の標識点を取得するとともに、デジタルノギスを用いて歯牙の形態を計測した。ウプサラ大学古生物博物館では、中国周口店の中期更新世の堆積物から出土したMacaca anderssoniのタイプ標本を直接観察し、三次元計測器とノギスを用いて計測した。さらに、同標本のCTデータを取得するための打ち合わせを行い、好意的な回答を得た。最後に、エルンスト・モリッツ・アンスト大学比較解剖学館のトーマス・コッペ博士の研究室を訪問し、研究施設を見学するとともに、お互いの研究内容についての意見交換を行った。
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