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事業報告

事業番号:21-014

ゾウにおいて行動や性格に関する遺伝子の解析を行い、海外の研究者との情報交換を行う。

報告者:安井 早紀

期間:2009/09/20 - 2009/11/21

派遣研究者はゾウの性格や行動の背景にある遺伝的要因を明らかにすることを目指して、日本の動物園飼育個体のDNA解析と性格アンケート調査を行ってきた。 Leibniz野生動物研究所は、独自の研究施設に加え世界各地に協力研究機関をもち、野生動物の行動や生態を多彩な方法を用いて研究している。また、派遣研究者の研究対象であるゾウにおいても、人工授精など繁殖に関する研究がさかんに行われている。したがって、ゾウの遺伝子解析や今後の派遣研究者のゾウの研究に関して発展が期待できる。そこで、同研究所においてヨーロッパの動物園などのサンプルを用い、ゾウの行動に関わる遺伝子の解析を行った。また性格アンケートを実施した。また、学会出席、Max Planck研究所やイタリアの国立環境研究所への訪問では、今後の研究に役立てるため、野生動物における様々な研究について学び、最新の実験設備を知ることを目的とした。

 学会では、多様な手法を用いた野生動物の研究について知ることができ、Max Planck研究所やイタリアの国立環境研究所では、霊長類などの遺伝子研究について聞き、最新の実験機器を見学して、渡航前までのゾウの研究紹介も行った。ライプニッツ野生動物研究所では、ヨーロッパの動物園のゾウのサンプルを用い、性格や行動に関わっている可能性のある遺伝子の中からARQ2 (Androgen receptor glutamine repeat2)とNUFIP2 (82 KD fragile X related mental retardation protein interacting protein)の遺伝子型の判定と塩基配列の解析を行った。ゾウの様々な組織(腎臓、心臓、血管、脂肪など)や、ろ紙にしみこませた血液からのDNA抽出も経験できた。また、動物園飼育個体とタイの野生個体を比較した。その他にも電気泳動の際にDNAを可視化する低毒性の試薬や、解析ソフトの使用法を学んだ。ライプニッツ野生動物研究所ではゾウの繁殖の研究も盛んにおこなわれており、今回の滞在中にはThomas Hildebrandt博士らの、アジアゾウの人工授精のプロジェクトに参加し、チェコのUsti nad Labem Zooではメスゾウの卵胞の超音波検査、同じくチェコのOstrava Zooではオスゾウからの精子採取の様子を見学した。







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