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事業報告事業番号:20-052 インドシナ半島南部における霊長類の分布と生物学的特徴 報告者:濱田 穣 期間:2008/09/05 - 2008/10/07 インドシナ半島は東南アジア大陸部と島嶼部を結びつけ、霊長類系統地理学上、重要な位置を占めている。半島基部はインドと中国へ連続する山地があり、そこから南へ何列かの山地が走り、その間に大河が流れている。調査対象の半島南部東半には、ラオスの東部とベトナムの西部にチュオンソン山地が南北に走り、その西にはメコン河が流れる。また半島南部にはタイ東部からカンボジア北部、ラオス南部を経てベトナム中央高原地域へ東西に山地林が連なり、さまざまな気候条件の環境が存在する。このような地理的・気候的条件が、本地域に分布する霊長類の系統地理学を形作ったと考えられるが、まだ研究されていない。このような調査地域における霊長類の分布と生物学的特徴の解明がこの研究を必要とした理由である。 ラオスでは北緯17度以南のメコン河東岸地域で広域調査を行い、次のような情報を得た。もっとも広く分布するのは北ブタオザルで、ついでアカゲザルとロリス類である。ベニガオザル、ドゥクラングールとテナガザルはチュオンソン山地に中程度頻度で、アッサムモンキーは少数例だが、同山地系に北緯15.2度以北に、カニクイザルは北緯15.2度以南の山地川辺林に分布している。タイ東部地域では、カニクイザルとブタオザルは確認されたが、ベニガオザルは分布していないようである等の情報を得た。カンボジアでは霊長類の生息状況について王立プノンペン大学で情報収集を行った。ベトナムでは最南部南シナ海に浮かぶコンダオ島で調査を行い、固有亜種カニクイザル(M. fasc. condorensis)の観察と分布状況について情報を収集した。以上の地域では、飼育霊長類よりDNA分析ならびに寄生虫検索用サンプルを収集した。
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