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事業報告

事業番号:20-047

頭蓋内部の形態学的特徴を用いたユーラシア産大型オナガザル亜科化石の系統分析に関する研究

報告者:西村 剛

期間:2009/03/17 - 2009/03/21

CTによる化石の内部構造の分析が容易になった昨今、顔面頭蓋の内部構造による化石種の系統分析が注目を集めている。特に、すでに知見が整備されている真猿類における上顎洞をはじめとする各副鼻腔の有無やその形態変異は、化石霊長類の系統分析への応用可能性が極めて高い。ユーラシア産大型オナガザル亜科化石Paradolichopithecusは、ヨーロッパ産arvernensis種がヒヒ的であるのに対して中央アジア産sushkini種がマカク的な内部構造を有しており、その所属系統が定まらない。本事業では、中国古脊椎動物古人類研究所所蔵の甘粛省産gansuensis種模式標本を直接観察・CT撮像し、他種との分類学的関係と同属の進化地理学的背景を検討する基礎資料を得る。

中国古脊椎動物古人類研究所の金昌柱教授、張穎奇研究員を訪問し、甘粛省産gansuensis種の模式標本HMV1142(L2)を直接観察した。また、同上顎標本を北京大学人民病院にてCT撮像し、鮮明な連続断層画像資料を得た。また、同教授の発掘プロジェクトで発見された他のオナガザル亜科化石も観察し、今後の研究計画について協議した。


中国科学院古脊椎動物・古人類研究所


北京大学人民病院でのCT撮像の様子

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