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事業報告
事業番号:20-045
国際霊長類学会第22回学術大会参加発表
報告者:相馬 貴代
期間:2008/08/03 - 2008/08/12
申請者の研究を行っているベレンティ保護区は、マダガスカル南部の分断化された森林である。マダガスカルで最もエコツーリズムが盛んなこの保護区は、と在来種のキツネザルが厳格に管理されている一方、導入樹種や導入された他種のキツネザルの問題が議論されている。今回の霊長類学会では、ベレンティ保護区で研究を行っている各国の研究者が集まる良い機会であり、最新の研究結果を発表するのみならず、このベレンティ保護区の管理の問題について議論する必要があった。また、他の保護区のキツネザル研究者との情報交換も行い、申請者の研究対象であるワオキツネザルの最新の研究成果を知るためにも、この国際学会への参加が必要であった。
イギリス,スコットランドのエディンバラ大学主催の国際霊長類学会第22回学術大会に出席し、発表を行った。申請者は、2000年より現在にいたるまで、マダガスカルのベレンティ私設保護区でワオキツネザルの採食生態学的研究を行ってきた。2001年ごろより、同保護区においてワオキツネザルの脱毛症が見られるようになり、導入樹種であるLeucaena leucocephalaの採食か貧栄養が原因と考えられてきた。 申請者は、このLeucaena leucocephalaの採食仮説と貧栄養仮説を検証し、Leucaena採食仮説を支持する結果を出してきた。
Leucaenaは2007年からベレンティ保護区から除去された。しかしこのLeucaenaはタンパク質に富み、繊維が少ないためにベレンティにおいてはワオキツネザルの重要採食樹種になっており、その後の栄養状態の悪化が危惧されていた。Leucaena除去が始まった2007年に、個体数の減少が観察され、Leucaena除去後の栄養状態の悪化が懸念された。申請者はLeucaena除去前と2005年と除去後の2008年の採食量と栄養状態を比較し、栄養状態には有意差がなく、ワオキツネザルはLeucaena除去後も、採食時間を増やしたり、採食パッチを変えることによって、重要採食樹種の除去に対処したことが考察された。この結果を「The influence
Leucaena leucocephala on demography of ring-tailed lemur(Lemur
catta)として発表した。このLeucaenaとワオキツネザルに関する研究や同保護区で導入されたチャイロキツネザルの個体数の増加の問題なども、アメリカ、イギリス、マダガスカル、イタリアなど他国の研究者も発表を行い、最新の研究結果について議論することができた。
イギリスのAlison
Jolly博士夫妻とアメリカのGraham Crawford博士夫妻と
エディンバラ市の町並み
HOPE Project<>
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