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事業報告

事業番号:20-035

有蹄類臼歯のMesowear解析による鮮新世霊長類の古環境解析

報告者:仲谷 英夫

期間:2008/11/17 - 2008/11/26

日ロ共同研究(研究代表者:高井正成)によって鮮新世とシベリア・ザバイカル地域Udunga産霊長類化石の古環境復元のため、Udunga産ヒッパリオン(ウマ科、奇蹄目)化石の臼歯Mesowear解析データを収集している。
今回の派遣ではMesowear解析による古環境解析のデータを収集し、同時代の北東アジアから中央アジアの古環境を比較するためにUdungaと隣接するモンゴル北部Shamar産およびUdunga産ヒッパリオンと同種のカザフスタン産ヒッパリオンのMesowearデータを詳細に検討することを目的としている。そのため、これらの標本を最も多く所蔵しているロシア科学アカデミー古生物学研究所での研究が必要である。

Udungaと隣接するモンゴル北部Shamar産およびUdunga産ヒッパリオンと同種のカザフスタンPavlodar産ヒッパリオンのMesowearデータをロシア科学アカデミー古生物学研究所で比較検討した。研究に使った標本は研究所1階の哺乳類化石収蔵庫に保存されていたが、一部は研究所の外の地下収蔵庫に保存されていた。また、附属博物館に展示してある標本は博物館休館日(月曜日)に展示ケースから出して検討した。
その結果、短い滞在期間ではあったが、300以上の臼歯についてのMesowearデータを収集し、予察的に古環境解析を行い、これらのヒッパリオンはより森林的な環境に生息したと推定した。
この間、ヒッパリオンの系統分類学的、機能形態学的、生物層序学的諸問題についてロシアのヒッパリオン研究の権威であるV. I. Zhegallo博士と、また、カザフスタン地域のヒッパリオン研究を行なっている日本の林原自然科学博物館の渡部真人博士とも研究討論を行なった


古生物学研究所全景


Evgeny N. Maschenko氏と哺乳類化石収蔵庫


V. I. Zhegallo、渡部真人両氏との討論(地下収蔵庫内)

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