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事業報告

事業番号:20-023-3

原生林に生息する野生ボルネオ・オランウータンの生態と社会に関する調査

報告者:久世 濃子

期間:2009/02/03 - 2009/03/12

従来、オランウータンは果実生産量が高い場所では生息密度が高くなり、集団を形成する傾向が強まる、と言われてきた。本事業の調査地では、果実生産量の変動に対応して、生息密度は大きく変動するものの、常に2.5頭/km2以上の高い生息密度を示すことが明らかになっている。本事業では、このような環境におけるオランウータンの社会行動を調べ、オランウータンの社会性を規定する要因を明らかにすることを目的としている。本年度の調査では、同じ地域を利用する2個体を同時に追跡することで、個体間の交渉の詳細を明かにすること予定である。

まず今回は、調査地であるダナムバレー森林保護区の管理責任者である、サバ財団のワイデ・シヌン博士と今後の調査計画に打ち合わせた後、マレーシア国の首都クアラルンプールの連邦政府経済企画局で新しい調査許可書の交付を受け、サバ州都コタキナバルにて新規の調査査証を申請した。コタキナバル市内でカンターパートらと打ち合わせを行った後、サバ州サンダカンにあるセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターにて共同研究者らと打ち合わせを行った。この後、ダナムバレー森林保護区に行き、マレーシア人の調査助手らと合流した。研究者が不在の間に彼らが収集していた2個体同時追跡のデータを回収し、今後の資料収集について細かく指示を出した。最後にマレーシア半島ペラ州のブキット・メラにあるオランウータンのリハビリテーションセンターで開催されたシンポジウムに2日間参加し、申請者の今までの研究内容をもとに講演を行い、帰国した。


調査助手が撮影した新しいフランジ雄


マレーシア半島ペラ州に新しくできたオランウータンのリハビリテーションセンター

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