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■ 研究論文の紹介
屋久島・幸島・金華山の成体オス・ニホンザルの頭蓋計測
毛利俊雄・西村剛
京都大学霊長類研究所
霊長類研究, 18(1), 43-47 (2002)
ニホンザル(学名: Macaca fuscata)は、日本固有の真猿類で、北は下北半島(青森県)から南は屋久島まで広く分布しています。ふつう熱帯地域に生息するサル類としては異色の存在で、最北サル(Snow monkeys)として世界に知られています。このような北から南まで広く分布しているニホンザルには、地域によってその形態や遺伝的基盤に違いがあることが知られています。本研究では、屋久島、幸島(宮崎県)と金華山(宮城県)に生息するニホンザルの頭蓋骨標本を用いて、顔の形状を示す17項目の計測値を計り、それらのデータを対数化して主成分分析(多変量アロメトリー)して、顔の形態の地域変異を明らかにしました。屋久島のニホンザルは、幸島・金華山のニホンザルに比べて、サイズが小さく、特に眼の辺りの形が大きく異なります。この両グループは亜種(種より下の分類群)レベルで異なっており、この結果はそれを支持します。幸島と金華山のグループでも違いがみられましたが、その違いはかつて幸島では餌が与えられていたことによるのかも知れません。