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霊長類の進化は約6500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられています。この頃出現した最古の霊長類はプレシアダピス類と呼ばれるグループですが、現在では彼らは真の霊長類ではないと主張する研究者が多くなっています。したがって「偽霊長類」(あるいは「霊長類様哺乳類」)として霊長類からはずすこともあります。プレシアダピス類が霊長類かどうかは今後の研究結果を待たなければいけませんが、彼らが初期霊長類に非常に近い系統にあたることは確かでしょう。 |
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プレシアダピス類は暁新世にその最盛期を迎え、つづく始新世末(約3500万年前)には完全に絶滅してしまいます。彼らの衰退と呼応するかのように出現してくるのが、アダピス類とオモミス類です。形態的にみて彼らは明らかに霊長類に含まれ、「現代型霊長類(または真霊長類)」と呼ばれています。おもに暁新世末期?漸新世初期の北米?ヨーロッパ大陸にかけて繁栄しましたが、一部の種(シバラダピス類)は中新世の末期まで存在していました。 |
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現在多くの研究者はアダピス類から現生のキツネザル類・ロリス類が進化し、オモミス類からメガネザル類と真猿類(ヒト・類人猿・旧世界ザル・新世界ザルを含むグループ)が進化したと考えています。現生霊長類のうち、真猿類以外のものを原猿類と呼びますが、このうちキツネザル類はマダガスカル島のみに、ロリス類はアフリカ大陸と東南アジア、メガネザル類は東南アジアに生息しています。 |
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中期?後期始新世(約4500?4000万年前)に旧大陸で出現した初期真猿類は、広鼻猿類と狭鼻猿類というふたつの大きなグループにわかれて進化してゆきます。広鼻猿類とは現在南米大陸に生息する新世界ザル(=南米ザル)で、狭鼻猿類とは旧大陸(アフリカ・アジア)に生息する旧世界ザルと類人猿・ヒトをふくみます。 |
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最古の新世界ザルの化石は南米ボリビアの約2500万年前の地層から見つかっています。古生物学的な解析によると、この新世界ザル達は漸新世の頃にアフリカ大陸から大西洋を渡って南米大陸に侵入したと考えられています。当時の大西洋は現在の半分くらいの大きさで、最も狭いところでは500km程度だったと考えられていますが、それでもそれでもサル達が渡るには十分離れていたと思われます。おそらく海流に乗って島づたいに渡ってきたのでしょうが、信じられない話しです。 |
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旧大陸の霊長類は、ニホンザルやコロブスを含む旧世界ザルと類人猿やヒトを含むホミノイドの2つのグループに分かれて進化しました。この二つのグループが分岐したのは、漸新世後半(約3000?2500万年前)と考えられています。化石記録から見ると最初(中新世前半)はホミノイドの方が繁栄していたのですが、中新世後半から旧世界ザルが勢力を増してその比率は逆転します。現在ではご存じのようにヒト以外のホミノイド(類人猿)はほとんど絶滅寸前ですが、旧世界ザルは大いに繁栄しています。 |
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旧世界ザルは上下顎の臼歯の構造が特殊化していることから、ホミノイドとはっきり区別できます。前期中新世(約2000万年前)のアフリカ大陸で出現した後、葉食性のコロブス類と果実を中心とした雑食性のオナガザル類に分かれて進化しました。日本に生息するニホンザルはオナガザル類の中のマカク類に含まれ、食べ物を一時的に貯めることのできる「頬袋」が特徴的です。 |
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ホミノイドは小型類人猿と大型類人猿、そしてヒトに分けられます。小型類人猿には東南アジアに生息しているテナガザルだけが含まれます。大型類人猿にはオランウータン、ゴリラそしてチンパンジーが含まれます。テナガザルは腕渡り行動(ブラキエーション)、大型類人猿はナックルウォーキングといった特徴的なロコモーション(移動様式)をしています。現在テナガザルとオランウータンは東南アジアに、ゴリラとチンパンジーはアフリカ大陸に生息していますが、ホミノイド全体の起源は前期中新世のアフリカ大陸で、その後ユーラシア大陸に進出したと考えられています。 |
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ヒトと現生の類人猿の系統が分岐したのは鮮新世初頭(約500万年前)と考えられていますが、まだはっきりしたことはわかりません。ナックルウォーキングをしていた化石類人猿から直立二足歩行のアウストラロピテクス類が出現したときから、われわれヒトの進化が始まったと思われます。現生のヒトの系統であるホモ属が出現したのは約200万年前と考えられています。おそらく東アフリカで進化した彼らは、やがて(約100万年前)にアフリカ大陸を離れユーラシア大陸、そしてアメリカ大陸(約2万年前?)へと分布を広げていきました。 |
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