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事業報告

事業番号:25-015

飼育下におけるラッコ(Enhydra lutris)の相互交渉に関する研究

報告者: 炭谷 麗

期間: 2014/1/10 - 2014/3/20

 申請者は、飼育下におけるラッコ(Enhydra lutris)の繁殖について理解を深める為、特に雌雄間の行動に着目して観察を行っている。国内のラッコ飼育数は1994年の122頭をピークに、現在では19頭と激減している。その理由の一つとして挙げられるのが飼育下での繁殖の難しさであり、世界を見てもその成功例は決して多くない。野生下における繁殖率は比較的高いため、飼育環境が何らかの影響を及ぼしていると考えられるが、国内でのラッコに関する研究は極めて少なく、その原因は未だ不明である。そこで、申請者はラッコのホルモンに関する研究が行われているワシントン州シアトル水族館へ渡航し、雌雄間交渉と性ホルモン変動を比較することにした。シアトル水族館では現在オス1頭、メス3頭が同じプールで飼育されているのと、15年以上継続してホルモン変動のモニタリングを行っているため、本調査に最適な機関であると考えた。

 行動観察はビデオカメラを用いて展示水槽の外から行った。コア観察時間は午前9時から午後5時とし、夜間観察は二度実施した。結果として、成獣オスと幼獣メス間の交渉が最も多く、成獣オスと成獣メス間の交渉が非常に少ない事が分かった。メス同士の交渉は主に母子間のレスリング(じゃれ合い)と授乳行動で、成獣メス同士の交渉は非常に稀であった。また、オスとメスの交渉はレスリング、ペアログロール、鼻噛み、ペアジャンプや交尾等、いくつかの行動からなることが分かった。この他、滞在中に糞中ホルモン分析のトレーニングを行い、コルチコステロン、テストステロン、プロジェステロンの分析手法を習得した。今後、速やかに観察データを解析し、期間中に得られた性ホルモン量との関係性と行動パターンについて考査する。


観察対象とした4頭の飼育ラッコ


糞中ホルモン分析の様子

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