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事業報告事業番号:25-013 野生チンパンジーの微気候への反応 報告者: 森村 成樹 期間: 2014/01/04 - 2014/03/10 ギニア共和国・ボッソウ村では、かつて森だった地域がサバンナとなり、保存林が違法に伐採されるなど、チンパンジーの生息環境が人間活動により改変されている。こうした環境改変は森を減少させるだけでなく、畑や耕作放棄地などに直射日光が差すことで環境の乾燥化につながると懸念される。そこで微気候がチンパンジーの行動におよぼす影響を明らかにすることを目的として、GPSおよび気象計を携行してチンパンジーの利用する環境を測定した。また、チンパンジーの行動を詳細に観察するために、よく利用する15地点にセンサーカメラを設置し、連続記録で撮影した。 2014年1月11日より3月4日の期間、ギニア共和国ボッソウ村に生息する野生チンパンジー9個体の行動観察をおこなった。チンパンジーを追跡して観察し、その遊動域をGPS測位するとともに生息環境の温度と相対湿度を観測した。また、チンパンジーが頻繁に使用する15地点にセンサーカメラ(合計19台)を設置して、無人によるチンパンジーの行動を記録した。チンパンジーは気温の低い午前中は森で過ごし、気温が上昇してから活動を開始する傾向があった。また、センサーカメラを用いて水場利用を観察したところ、乾季の晴れた日が続く時に水場を集中して訪れた。チンパンジーによってセンサーカメラが破壊されたり、盗難されたりすることはなく、チンパンジーを直接観察できない日でも自動で行動を記録できた。また、ボッソウでは調査基地近くにチンパンジーが生息しているため、メンテナンスを高頻度でおこなうことができた。水場利用、果実の採食などのチンパンジーの行動を24時間の連続記録として調査できた。センサーカメラを併用することで、チンパンジーの温度適応行動を詳細に調べることができることが分かった。
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