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事業報告

事業番号:25-006

アカゲザルとキタブタオザルの尻尾の利用方法の行動観察

報告者: 若森 参

期間: 2014/1/29 - 2014/3/29

 派遣者は、マカク属のサルの尾椎形態の種間比較研究を行っており、今回、相対尾長が同程度であるがその尾椎形態が大きく異なるアカゲザル(Macaca mulatta)とキタブタオザル(Macaca leonina)の尾の利用方法の行動観察を目的とした。行動や個体間関係に基づく観察であるため、野生群の観察が必要であった。尾の動きは短時間に起こる動作であるため、記録時間の短縮をするためにタブレットパソコンに入力し記録する方法を試みた。また、尾の動作にはコミュニケーションの手段として使われることも考えられるため、観察対象個体とともに周辺個体の状況を記録するためにウェアラブルカメラを併用した。

 アカゲザルはタイ東北部のルーイ県で、キタブタオザルはタイ南部のチュンポン県でそれぞれ餌付けされた野生群を観察した。行動記録は、尾の位置(脊椎に対して水平、垂直、背方向屈曲、脱力、それぞれの左右 )と姿勢(座る、立つ、歩く、走る、寝そべる)、行動(食べる、休む、あくび、注視、毛づくろい、スクラッチ、威嚇)のそれぞれのカテゴリーから、1つずつ記号で記録した。アカゲザルはのべ92個体の、キタブタオザルはのべ112個体のそれぞれ5〜15分のデータセットを得られた。

 当初、尾椎形態の違いから尾の可動範囲に2種間で異なることが予想されたが、そのほかにも尾の柔軟性の違いや、オトナとコドモでの動かし方の頻度が異なることが見受けられた。アカゲザルは、成体オスでは尾を胴体に対して上方垂直に伸ばし示威的姿勢をとる。また、木のぼり、枝から枝への跳躍で尾がバランサーとしてよく用いることが観察された。キタブタオザルでは成体オスで、尾を背に接するほど強く背屈し、尾臀部を他個体に呈示する行動が特徴的であり、これは近位部尾椎の長さが短く数が多いことと関連付けられた。

今後、行動記録と撮影した映像を総合して分析を行い、種間での相違点を考察する。










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