事業報告

事業番号:24-J001

ゴンベ国立公園に生息する野生チンパンジーの観察及び生息環境の視察 〜観光地・保護地域と研究フィールドの両立〜

報告者: 鈴村崇文

期間: 2012/8/17 - 2012/8/26

報告者の勤務地の幸島は60年以上研究フィールドとして利用されており、また天然記念物に指定・保護されている。さらに観光地としても開放されているため様々な要求があるフィールドである。今回、タンザニアのゴンベ国立公園とセレンゲティ国立公園を訪問した。これらの国立公園は国で保護されている地域であり、観光地としても開放されている。幸島と非常に似た2つの保護地域の現状を知ることができた。
ゴンベ国立公園ではチンパンジーやアヌビスヒヒなどを対象に多くの研究者が来訪している。3日間滞在し2日間ともに野生チンパンジーを観察することができた。公園内では森林伐採の制限、チンパンジーを観察できる時間などが厳しく決められている。この事により生息環境を維持しチンパンジーに余計なストレスを与えずより自然な状態で観察できる。また、先行してチンパンジーを探すトラッカーと来訪者を案内するガイドの間で、さらには研究者との間でもやり取りがなされ的確にチンパンジーのいる所まで案内することができる。ガイドが常に同行することで現状を踏まえた解説が受けられる上、チンパンジーとのトラブルを未然に防ぐことができ、研究者に配慮しながら安全に観察が行なえるのである。また、セレンゲティ国立公園でも同様、ガイド同士が連絡を取り合いながら、野生動物がいるポイントに的確に案内していた。このようにタンザニアでは研究者(学)とガイド(産)と規制する側(官)が上手くバランスをとって存在していると感じた。研究フィールドの維持においても産官学の連携は不可欠であると感じた。個体群の保護、社会教育の場としての観光地、そして有益な研究フィールドの維持という問題に大学としてどの様に現場に関わっていくべきか考えなければならない。今回の経験を今後の幸島観察所での研究・業務に役立てたい。



ガイドが常に同行し詳しい説明が聞ける(ゴンベ国立公園)


至近距離で野生のチンパンジーが観察できる(ゴンベ国立公園)


貴重な野生動物が数多く見られる(セレンゲティ国立公園)

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