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事業報告

事業番号:24-012

野生ボノボの日周活動の時期的変化とグル―ピング・パターンの相関に関する研究

報告者: 坂巻 哲也

期間: 2012/5/26 - 2012/8/20

 本研究の対象は野生のボノボであり、方法は個体識別された集団を終日追跡し、行動や活動の観察を行なう。野生のボノボは、コンゴ民主共和国のコンゴ川の南側にのみ生息する。調査地であるルオー学術保護区の北半分を占めるワンバ村では、1973年以来、日本人研究者がボノボの調査を継続してきた。おもな調査対象集団のE1グループとPグループは、現在、詳細な行動観察が十分に可能な程に観察者に慣れており、個体識別がなされている。以上が、派遣先での研究を必要とした理由である。

コンゴ民主共和国にある調査地、ワンバに約2ヶ月間滞在し、野生ボノボの調査を行なった。調査対象は、E1グループとPグループであり、ほぼ毎日、終日の追跡観察を行なっている。今回の調査中、E1グループは132時間34分(計12日)、Pグループ96時間10分(計11日)の観察を行なった。別の隣接集団、E2グループの追跡も試み、5日間連続、計45時間16分の観察を行なった。基本的に朝のベッドサイトから夕方のベッドサイトまで追跡し、グルーピング、活動、社会交渉などのデータを収集した。季節的に変化し得る遊動パーティーの大きさに応じて、かれらの活動のパターン、時間配分、個々体の同調の具合がどのように変化するかを今後分析していく。
現地調査の後、メキシコにわたり、8月12日〜17日にカンクンで開催された国際霊長類学会の学術大会に参加した。2012年度のHOPEの資金で調査を進めた、ボノボの新移入メスの社会関係に関する研究の成果を発表した。


幹線道路上でボノボを観察する様子


国際霊長類学会学術大会の会場の様子

HOPE Project<>