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事業報告事業番号:24-002 ボルネオ島に同所的に生息する果実食性ジャコウネコ4種の共存機構の解明 報告者: 中林 雅 期間: 2012/6/16 - 2012/10/7 東南アジアの熱帯雨林は、小型食肉目の種多様性が高く、同所的に生息する種数は、他の地域の熱帯雨林と比べて数倍にも達することが知られている(Corlett 2007)。中でもジャコウネコ科の動物は高い適応放散を遂げており、地域によっては、地上性4種、樹上性4種が同所的に生息する。しかし、これらジャコウネコ類の研究は食肉目の中でも遅れており、複数種がいかにして共存しているのか、ほとんど明らかにされていない。樹上性ジャコウネコ(パームシベット亜科)4種においては、共通して果実食性を持つことが知られており、その共存機構は全く明らかではない。報告者は、修士課程に引き続き、この4種の樹上性ジャコウネコの共存機構を解明するために、4種の生息が確認されているマレーシア・サバ州ダナンバレー自然保護区で、4種の食性に着目し、長期的な観察を行うことを必要とした。 今回の渡航は、修士課程に引き続き、果実食性食肉目ジャコウネコ科パームシベット亜科に属する動物4種の共存機構の解明を目的として、マレーシア・サバ州ダナンバレー自然保護区に113日間滞在した。滞在期間中、4種のうち2種、計4頭のパームシベット(Common palm civet3頭 Small-toothed palm civet1頭:図1)の捕獲に成功し、各個体のラジオテレメトリーによる追跡に成功した。特に、Small-toothed palm civetの捕獲・追跡は世界初の試みであるため、今後も継続してデータを取得すると、貴重な情報を提供できると思われる。テレメトリー追跡の結果、追跡個体のSmall-toothed palm civet(♂)はCommon palm civet(♂1頭、♀2頭)よりも大きな行動圏をもつことが分かった。また、追跡個体(Small-toothed palm civet)の推定場所には比較的結実量の多いイチジクの木があったことから、イチジクの結実木の場所と結実フェノロジーを把握しており、それを追い求めて移動することが示唆された。一方、Common palm civetは行動圏内の結実木の結実が終了すると、人の居住地近くで残飯を食料としていた。今後も継続して研究を行うと、より興味深い結果が得られると考えられる。
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