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事業報告

事業番号:24-001

野生チンパンジーの老化に伴う身体機能・社会的役割の変化を観察

報告者: 藤澤 道子

期間: 2012/10/13 - 2012/12/19

高齢な野生チンパンジーが複数存在していること、人間をあまり恐れず比較的近くで観察可能であることから、野生チンパンジーの老化研究に適した場所である。これまでにも、高齢チンパンジーのデータ収集を同地域に住む同個体でおこなっており、同一個体の縦断的な加齢変化の観察が可能である。

渡航時、村人とチンパンジーに急性上気道炎が大流行しており、特に最高齢と推定されるメスが重症だった。そのため、その個体を優先的に観察した。上気道炎罹患時は歩行・木登りなどの運動機能が非常に低下していたが、治癒後、動作は緩慢であるものの安定した。四肢の筋肉量が低下しており、高齢になり身体機能の予備能力が低下していると考えられる。主に他個体との社会的関係、採食しているものの種類、神経行動機能を観察した。また、他のチンパンジーたちが人間の畑に作物を採食しに行くときには同行しないことが多く、チンパンジー間で争いが起こったときは、身を隠すなど危険をあらかじめ回避しようとする行動がみられた。

 現在、この地域ではチンパンジーが人間に慣れてきていることが問題となっており、フォーカル・サンプリング法での観察に制限をしている。そのため、その範囲内で観察するとともに、ビデオによる記録を主体とした。

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