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事業報告

事業番号:23-039

アジアゾウのコミュニケーションと社会関係に関する研究

報告者: 安井 早紀

期間: 2011/12/11 - 2012/3/1

 派遣研究者は、ゾウの個体間交渉に興味を持ち、社会行動に焦点を当てて行動観察を行うことを希望していたが、国内の動物園は飼育頭数が少なく、複雑な社会行動に関する研究をするには限界がある。タイ国内には多くのエレファントキャンプがあり、多くのゾウがゾウ使いたちと共に生活しているため、詳細な観察が可能である。その中でも前回のAS-HOPEでの渡航において訪れたSurin Elephant Study Centerには、約200頭ものゾウが毎日集まってきている。特にSurin Projectに参加している12頭のゾウはセンター内の放飼場などで、グループで行動しており、社会行動の観察に適していた。以上のような理由から、 今回の渡航では、Surin Elephant Study Centerでのゾウの行動観察と現地スタッフとの打ち合わせを目的とした。また、研究の打ち合わせのため、以前から研究に協力して頂いているJosh PLOTNIK博士が研究を行っているチェンライを訪問した。

 スリンでは、スリンプロジェクトのスタッフやプロジェクトに参加しているゾウ使いたちと打ち合わせを行った後、行動観察を始めた。12頭のゾウを対象として、ゾウ達がセンター内にある放飼場で過ごしたり、センターの近くにある川や森まで歩いたりする時間に観察を行った。個体追跡法を用いて、接触行動を中心とした社会行動を連続記録で記録した。また、個体間距離はスキャンサンプリングを用いて5分ごとに記録を行った。少し時間がかかったが、慣れてくるとゾウと近い距離で観察を行うことが可能になったため、詳細な観察、記録を行うことができた。記録にはビデオカメラやICレコーダーを使用した。現在、収集したデータの分析を進めている。また、最後にはチェンライにいるJosh PLOTNIK博士を訪ね、彼が行っているゾウの認知実験を見学すると共に、今回のスリンでの調査や今後の研究計画について話し合った。


センター内にあるゾウの放飼場


水浴びの様子

HOPE Project<>