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事業報告

事業番号:23-011

チリ沿岸に生息する野生小型ハクジラ類の音声行動に関する研究

報告者: ヨシダ ヤヨイ

期間: 2012/1/25 - 2012/3/30

 申請者はこれまで日本国内のイロワケイルカにおいて、飼育個体の音声行動についての研究を行ってきた。研究対象としているイロワケイルカは、南米チリ共和国およびアルゼンチン沿岸にのみ生息する種である。その為、飼育個体と野生個体の比較研究を行なう上では、派遣先であるチリへの渡航が必要不可欠であった。また2011年2-3月にも、同海域にて小型ハクジラ亜目の音響調査を行ったが、この際の調査でイロワケイルカと、その同属のチリイロワケイルカが同所的に生息し、時折混群を作る事が観察されていた。本調査では、混群、単種群、複数群、単独、それぞれの状況において音響及び行動の記録を取ることを主目的とした。得られた記録から、「飼育−野生」「異種間」「複数―単独」での音響的比較が可能だと考える。

2月にChiloe島 南東部のChullec湾にて調査をおこなった。Chullec湾沿岸には、チリイロワケイルカが生息している。調査船から、音声の録音と同時に、個体数・個体間距離・海底環境・沿岸距離・GPS測位などのデータを収集した。

つづいて、3月にチリ南端のFitz Roy海峡にて調査をおこなった。Fitz Roy 海峡には、イロワケイルカおよびチリイロワケイルカが同所的に生息している。天候と海峡の良い日に、調査船から、音声の録音と同時に、種名・個体数・個体間距離・行動・環境・GPS測位などを記録した。調査中、何度かイロワケイルカとチリイロワケイルカの混群とも遭遇することもあり、調査全体として目的としていたデータを採取することができた。

一方、調査中イロワケイルカは調査船の走行波に寄る事もあるが、チリイロワケイルカはほぼ逃避行動を見せる。このような性質の違いが音声利用にも反映されている可能性がある。極めて近縁な2種間において、行動や生態、社会構成など、細かな差異を積み重ねていくことによって、彼らの進化上の派生背景を描き出す一助となる。


Mix group of Commerson's and Chilean


Group of Commerson's

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