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事業報告事業番号:23-004 野生チンパンジーの老化に伴う身体機能・社会的役割の変化を観察 報告者: 藤澤 道子 期間: 2011/10/25 - 2011/12/26 派遣先での研究を必要とした理由:高齢な野生チンパンジーが複数存在していること、人間をあまり恐れず比較的近くで観察可能であることから、野生チンパンジーの老化研究に適した場所である。また、生まれた群れで母親とともに子育てをしているチンパンジーがおり、チンパンジーにおいて、「おばあさん」が子育てにかかわる役割を確認することができると考えたため。 生まれた群れで子育てをしていたチンパンジーの第2子出産場面を観察することができた。第1子はまだ自立しておらず、出産したチンパンジーの母親(子供にとっては祖母)がその子供を世話していた。祖母が子育てを手伝っているからこそ、次の子供を早く産んでも双方が健康に育っているといえる。 また、閉経している高齢雌の体格が、四肢が細く、腹周囲が大きい、人間でいうところの内蔵型肥満に似ている可能性があることを観察した。人間では、内臓型肥満、高血圧、耐糖能異常、脂質異常の相互作用が血管の老化である動脈硬化を促進するというメタボリック症候群の概念があるが、チンパンジーでこのような概念が当てはまるのかどうかは不明である。ボッソウのチンパンジーは、少なくない頻度で、農作物である稲、とうもろこし、アブラヤシ、バナナ、パイナップルなどの高カロリー食を利用し、栄養学的に恵まれており長寿であるが、さらに高齢になるまで生存すると、メタボリック症候群となる可能性がないかどうか、また動脈硬化が促進されることで、認知症のような病態が出現する可能性がないかどうか、今後も観察を続けていく必要がある。 若い雌が、ボッソウから比較的近い村に来ていた。ボッソウ群のメンバーもその村へ2度行ったが、滞在中にその若い雌がボッソウへ来ることはなかった。
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