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事業報告事業番号:22-012 ドール(Cuon alpinus)の音声行動に関する研究、及び野生個体調査のための野外調査トレーニング 報告者:澤栗 秀太 期間:2010/10/28 - 2010/12/28 派遣研究者は、平成22年度から日本の動物園でドール(Cuon alpinus)を対象に研究を行っている。ドールは群れで狩りをするイヌ科動物の1種であり、インド、中国、東南アジアなどに広く生息するが、レッドリストで絶滅危惧IB類に指定されている種である。ドールは飼育下および野生下の様々な状況において色々な音声を発することが知られており、何らかの音声コミュニケーションを行っていると考えられるが、その機能は十分には明らかにされていない。したがって、様々な飼育・生息環境にいる異なった構成の群れの行動を観察することにより、各音声の機能を明らかにしたい。今回は、来年度に行う予定の本調査に先立ち、どの程度自然生息地でドールが観察出来るのか、現地の動物園の飼育環境はどのようなものなのかなどの視察と同時に、行動および音声のビデオ記録を目的として、インドのアリグナル・アンナ動物園(タミルナドゥ州チェンナイ)とムドゥマライ国立公園(タミルナドゥ州)、およびシンガポールのシンガポール動物園にて予備調査を行った。 アリグナル・アンナ動物園のドール飼育頭数は、今年度10月までは19頭であったが、マングースが媒介した病気で死んでしまったため、7頭であった。11月初旬から12月初旬までの約1ヵ月間、自然生息地に近い環境で飼育されておりメスのみで構成される4頭の群れの行動観察・ビデオ撮影および録音を行った。ここでは日本の動物園では聞くことのなかった鳴き声を確認した。野生調査地であるムドゥマライでは、インド科学大学生態学センターの調査小屋を拠点に、ガイド・調査補助の方に同行して頂き調査を行った。10月末から11月初めと12月中旬の2回の訪問で、こどもを含めた野生のドールを複数回にわたり観察・ビデオ撮影および録音することが出来た。また、インドからの帰路に、シンガポール動物園に12月末に数日間滞在し、ドールの終日・夜間観察およびビデオ撮影・録音を行った。夜間の観察では、ドールの交尾を数回確認し、交尾後にメスが発した音声の録音とその際の行動を記録した。今後速やかに得られたこれらのデータを整理・分析し、次回の調査に臨みたい。
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