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事業報告

事業番号:22-011

アマゾン川流域およびチリ沿岸に生息する野性小型ハクジラ類の音声行動に関する研究

報告者:吉田 弥生

期間:2011/01/14 - 2011/03/27

 申請者はこれまで日本国内のイロワケイルカにおいて、飼育個体の音声行動についての研究を行ってきた。研究対象としているイロワケイルカは、南米のチリおよびアルゼンチンにのみ生息する種である。その為、飼育個体と野生個体の比較研究を行なう上では、派遣先であるチリへの渡航が必要不可欠であった。 また、訪問先であるブラジル Instituto Nacional de Pesquisas da Amazôniaにおいては、野生動物研究センター博士課程に所属する佐々木友紀子氏の共同研究者として、行動観察を担当するため訪問した。

小型イルカ類はクリックスと呼ばれる音声を用いて、音響定位や情報伝達を行なうと考えられている。申請者はこれまで日本国内の飼育イロワケイルカにおいて音声行動の研究を行ってきた。本渡航では音声行動におけるイロワケイルカと、その同属のチリイロワケイルカ間、およびイロワケイルカの飼育個体と野生個体間での比較調査を行うため、調査船からの目視観察および音声録音を試みた。第一の調査地、Melinka島はChiloe島の南側に位置し、チリイロワケイルカを含め数種類のクジラ類が棲息している。目視観察では種名、個体数、位置、行動を記録した。音声の記録は音響特性の調査を主に行った。観察できた個体数の平均は一群れ2.25頭、水深5m以下の場所が多かった。第二調査地のFitz Roy海峡は、南北の大きな湾をつなぐ距離15km,幅3km程のフィヨルド型海峡である。一年を通して風が強く、海流が非常に早い。イロワケイルカは、浅く海藻の多く茂っている場所で、同じ場所を何度も真下に潜る行動が観察され、採餌行動ではないかと考えられた。







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