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事業報告

事業番号:22-002

野生チンパンジーの老化に伴う身体機能・社会的役割の変化に関する研究

報告者:藤澤 道子

期間:2010/05/01 - 2010/07/01

高齢な野生チンパンジーが複数存在していること、人をあまり恐れず比較的近くで観察可能であることから、野生チンパンジーの老化研究に適している。

 高齢者は、身体認知機能が低下し、抑うつ的になることが少なくない。老化は全ての生物に共通する現象だが、チンパンジーではどうなのかを明らかにすることが目的である。昨年観察対象の高齢雌の息子であるα雄がいなくなった。α雄は、遅れがちの母親を待ち、頻繁に毛繕いしており、この高齢雌は、昨年の観察では息子と共に過ごすことが多くなっていた。このため息子を亡くしたこの雌の変化を追跡することが今後の課題の一つである。高齢者は、親しい人を失うことで認知機能低下、また身体機能の低下を経験することが多いからだ。また、圧倒的に強かったα雄の消失により、雄の力関係に変化が生じている。力では劣るが、高齢雌が支持するのは50歳以上と推定される高齢雄だ。力をつけてきた若者もおり、彼らのなかで駆け引きが始まっていた。また筆者滞在中に、昨年11月に生まれたチンパンジーが死亡した。母親は以前にも子供を失った時に遺体を長期間抱え続けたことで知られる。今回も遺体を抱え、毛繕いし、顔を両手で抱えてみつめ、たかるハエを追う行動が観察された。老化研究は、一度の観察で明らかになることは少なく、今後もボッソウへ通い、同じチンパンジーを縦断的に観察し続けることが重要だ。

 オランダでは動物飼育施設の見学と意見交換、高齢チンパンジーの観察をおこなった。


力が拮抗している大人オス


50歳をこえて子育てするジレ

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