COE 国際シンポジウム
「長期野外研究の過去、現在、未来」

[English]

COE 国際シンポジウム 「長期野外研究の過去、現在、未来」
"Research on Long-lived Animals: The past, present and future of longitudinal field studies"

おかげさまで100名以上の方にご参加いただき、実りのあるシンポジウムになりました。
ご参加いただきました皆様に感謝いたします。




日程 2002年1月15-18日(終了)
場所 犬山国際観光センター「フロイデ」(愛知県犬山市)
入場 無料
主催 京都大学霊長類研究所 生態学研究分科
   COE拠点形成プログラム 2001年度 国際シンポジウム

プログラム Word / PDF

概要・目的
 霊長類を対象とした長期研究は,世界各地でさまざまなスタイルでおこなわれてきました.生態学や行動学,社会学はもとより,遺伝学や生物地理学なども基盤とする多岐にわたる成果は,さまざまな仮説や理論を生み出し,それがまた新たな研究の原動力となってきました.長期研究は,研究の障害となりがちな,繁殖力が低く寿命が長いという霊長類に固有の問題を克服する上でも,重要な役割を果たしてきました.さらに,複数の地域での長期研究により,さまざまなテーマについて種間比較や地域間比較が可能になりました.その一方で,生息環境や動物と人との関係の地域性や,研究チームを構成する研究者の視点の違いや研究成果の積み重ねの歴史が,それぞれの長期研究に独創性をもたらし,それが相互に刺激を与えてきました.
 このシンポジウムは,長期研究がもたらした成果を一同に集めてさまざまな角度から検討し新しい可能性を探るために企画されました.このシンポジウムでは,大きく二つの柱を考えています.
 第一の柱は,生態学や行動学のさまざまなトピックについてどのような貢献を長期研究が果たしてきたのか,それぞれの調査地の歴史にもとづく独自性はどのような独創的な研究成果を生み出してきたのか,ということです.長期的な研究がもたらしてきた研究成果については,個体の生活史,群れサイズや集団構成の長期的な変化,個体群動態,群間関係の変化,社会的変動,まれに起こる事例の検討などさまざまなテーマが考えられます.さらに,これらの現象と生息環境や環境変動との関係も重要なテーマです.
 第二の柱としては,長期研究にともなう研究活動や調査地の運営管理,あるいは調査地の保全や調査対象の保護の問題を考えています.さまざまな短期的な研究テーマを効率良く行ないながら,長期的なテーマを設定し関連するデータの収集と管理を行なうことは,長期研究における最重要課題の一つといえるでしょう.また,長期研究を続けるには,調査地や調査対象の保全が不可欠ですが,長期研究によって得られた個体群パラメータなどが,調査対象や調査地域の保全に重要な役割を果たすこともまれではありません.対象種を含む生態系の保全や保護区の設定,対応国の研究者や地域コミュニティーとの連携や研究成果の還元,保護のための普及や教育活動も,長期調査をする場合には重要な課題になります.長期的な調査をはじめるにあたってのデザインや方向性と得られた成果との関連についても検討できればと思います.
 この二つの柱のどちらかについて,国内国外の霊長類研究者および若干の哺乳類研究者に話題を提供していただく予定です.そこでの議論を踏まえて,今後の長期研究の方向性や展望について議論したいと考えています.また,国内の霊長類研究者には各自の研究についてポスター発表をしてもらう予定です.

講演者
Boinski, Sue; Collins, Anthony; Cords, Marina; Dittus, Wolfgang ; Hashimoto, Chie; Isbell, Lynne ; Jolly, Alison; Kurita, Hiroyuki; Li, Jin-Hua; Mano, Tsutomu; Mills, Gus ; Mori, Akio; Nakagawa, Naofumi; Nishida, Toshisada; Nishimura, Akisato; Ohsawa, Hideyuki; Oka, Teruki; Pintea, Lilian ; Pusey, Anne; Saito, Chiemi; Strier, Karen B.; Takatsuki, Seiki; VanHooff, J.A.R.A.M.; Wasser, Samuel; Yamagiwa, Juichi;

お問い合わせ先
霊長類研究所生態機構分野
電話:0568-63-0541
ファックス:0568-63-0565

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