第48回ホミニゼーション研究会:遊動とホミニゼーション

 

第48回ホミニゼーション研究会:遊動とホミニゼーション

・今年度のホミニゼーション研究会は、以下の要領で実施いたします。皆さんのご参加をお待ちしています。

・プログラムはこちらでご覧ください。

・当日参加も歓迎いたしますが、所外の方で参加を希望される方は、以下の点について事前にメールでご一報いただけると助かります。メールはhominization@pri.kyoto-u.ac.jp宛てにお送りください。

お名前、ご所属
懇親会の参加の有無(一般の方3,000円、学生の方1,000円程度を予定しています)
共同利用宿舎利用のご希望(1泊1,650円です)

・共同利用宿舎は残りの部屋数がわずかとなっていますので、先着順でご希望を受け付けます。ご希望に添えない場合はご容赦ください。

日時:2019年2月28日、3月1日

場所:霊長類研究所大会議室

世話人:古市剛史、橋本千絵、平崎鋭矢、西村剛

 一万年前の「定住革命」が今日の人類の繁栄をもたらしたのは間違いありませんが、一方で、ヒトの身体、行動様式、社会システムが「遊動」に適応して形作られて来たことも事実です。特に、ホモ属の身体には、長距離ロコモーションへの適応と見られる特徴が数多く刻まれています。ヒトの進化は遊動パターンの変化の歴史でもあったとも言えるのです。

 ヒトの遊動のもっとも大きな特徴は2足で歩くということですが、1日の遊動距離、遊動速度、1レグの距離、あるいはそれらの日ごと季節ごとのバリエーションにも、ヒト独特の特徴があると考えられます。また、ヒトだけでなく、たとえばニホンザルの1日の遊動距離の変異が比較的が小さいのに対して、チンパンジーやボノボではきわめて大きな日変化、季節変化を見せるなど、霊長類の分類群による違いもあります。さらにそういった違いは、それを可能にする身体形態やロコモーションのエネルギー効率によって支えられていなければなりません。

 本研究会では、ニホンザル、類人猿、狩猟採集民・牧畜民の遊動パターンをGPSデータの最新の解析法を用いるなどして比較し、ヒトの遊動パターンの特徴とその進化について検討するとともに、それを支える形態とエネルギー効率に関する最新の研究成果について考えます。


プログラム

2月28日

14:00-14:05 趣旨説明(平崎)

14:05-14:40 平崎鋭矢(京都大学)「二足歩行は楽なのか?」

14:40-15:15 安陪大治郎(九州産業大学)「直立二足歩行・走行のエネルギー消費:本当に移動効率は高いのか?」

15:15-15:50 荻原直道(東京大学)「ロコモーションのエネルギ消費に筋骨格形態が与える影響」

15:50-16:05 (休憩)

16:05-16:40 森本直記(京都大学)「二足歩行と後肢の伸長を個体発生から考える」

16:40-17:15 中務真人(京都大学)「化石人類の遊動行動:アウストラロピテクス、ホモ・エレクタス」

17:15-17:45 1日目の討論(コメンテータの発表等)

18:00-20:00 懇親会(多目的ホール)

3月1日

9:00-9:05 趣旨説明(古市)

9:05-9:45 David Sprague(農業・食品産業技術総合研究機構)「GPS記録に基づく遊動分析の新展開」

9:45-10:15 関澤 麻伊沙(総合研究大学院大学)「金華山のニホンザルA群における遊動の月内・月間変動」

10:15-10:45 大谷洋介(大阪大学)「ヤクシマザルオス個体の遊動の変異性」

10:45-11:00 (休憩)

11:00-11:30 橋本千絵(京都大学):「ヒガシチンパンジーの遊動の性差」

11:30-12:00 古市剛史・寺田佐恵子(京都大学)「ボノボの行動域利用と遊動パターン」

12:00-13:00 (昼食)

13:00-13:40 今村薫(名古屋学院大学)「狩猟採集民の移動パターンと土地利用」

13:40-14:20 河合香吏(東京外語大学):「牧畜民の遊動と集団間関係」

14:20-14:30(休憩)

14:30-15:10 山内太郎(北海道大学):「伝統的農耕民、狩猟採集民の「遊動」:生活時空間とエネルギー適応」

15:10-15:40 2日目の討論