共同利用研究会

第41回ホミニゼーション研究会「成長と加齢」

本年も、以下の要領で恒例のホミニゼーション研究会を開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。

世話人:古市剛史、濱田穣、友永雅己

日時:2013年3月8日(金)〜9日(土)

場所:京都大学霊長類研究所・大会議室
*霊長類研究所内の共同利用宿舎の利用をご希望の方は、担当の古市までメールでご連絡ください。先着順に受け付けいたします。

 成長と加齢は、すべての生物にとってもっとも重要な問題です。どのような速度で成長し、どの程度の期間を繁殖に充てるのかということは、それぞれの種の繁殖戦略の映し鏡といえるし、脳や身体のそれぞれの部位に、どの時期どの程度のリソースを割り当てて成長するかという問題は、ヒトを含む霊長類ではとくに大きな問題になります。霊長類の中でも成長の遅滞と閉経の存在という大きな特徴を示すヒトについては、それらの特徴が発現した時期を特定することは、化石には残らない生活と社会構造の進化の解明の鍵となります。さらに、私たちヒトの心の成長の研究は、心の進化の意味を考えるとともに、現代を生きる上での諸問題の解決の糸口にもなります。この研究会では、ホミニゼーション研究の中心課題ともいえる成長と加齢の問題を、化石霊長類の身体的発達、現世霊長類の身体的発達、ヒトの心や言語の発達という3つの側面から、最新の研究成果とレビューを織り交ぜて考えてみます。

 なお、演者のおひとりの黒田末寿先生は、ボノボなどを中心に長年にわたってホミニゼーションの研究に携わってこられましたが、本年度をもって定年でご退職になります。これを記念して、8日の最後にご講演をお願いしています。

プログラム

3月8日(金)

形態学I
13:00-13:40
矢野 航(朝日大学・歯学部)
「ニホンザル頭蓋形態形成パターンの種内変異」

13:40-14:20
河野 礼子(国立科学博物館)
「歯からライフ・ヒストリーを読み解く」

14:20-14:35 <休憩>

行動・生態学
14:35-15:15
久世 濃子(京都大学・野生動物研究センター)
「The slowest life history: オランウータンの成長と繁殖」

15:15-15:55
橋本 千絵(京都大学・霊長類研究所)
「チンパンジーのメスの生活史と繁殖」

15:55-16:10  <休憩>

16:10-17:10
黒田 末寿(滋賀県立大学・人間文化学部)
「霊長類社会学における成長・加齢の位置づけ」

18:00-20:00 懇親会(霊長類研究所・多目的ホール)

3月9日(土)

心理学
9:00-9:40
市川 寛子(中央大学・文学部)
「乳幼児期の顔と表情の認知」

9:40-10:20
林 創(岡山大学・教育学部)
「人間の子どもにおける他者の心の理解の発達」

10:20-11:00
長井 志江(大阪大学・工学部)
「随伴性に基づく自他認知の発達:構成的・解析的研究」

11:00-11:15 <休憩>

形態学II
11:15-11:55
田中 茂穂(国立健康栄養研究所)
「子どもにおける肥満の現状と身体活動の寄与」

11:55-12:35
山内 太郎(北海道大学・大学院保健科学院)
「ピグミー系狩猟採集民のライフスタイルと成長」

12:35-13:05 総合討論