共同利用研究会
ホミニゼーション研究会「近親交配再考:人類学から自然保護まで」

本年も、以下の要領で恒例のホミニゼーション研究会を開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。

世話人:古市剛史、川本芳、友永雅己

日時:2011年3月4日〜5日
場所:京都大学霊長類研究所・大会議室
*霊長類研究所内の共同利用宿舎の利用をご希望の方は、担当の古市までメールでご連絡ください。先着順に受け付けいたします。

近親交配の問題は、昨年なくなったレヴィ=ストロースをはじめとする人類学の世界でも、社会構造に対する問いかけから始まった日本の霊長類学においても、常に中心的な問題として扱われてきた。霊長類学では、様々な種を対象とする研究が進むにつれて、近親交配の回避と社会構造との関係についてあらたな知見が得られつつあり、心理学・ゲノム科学の世界では、近親者の認識メカニズムや近親者への対応についての研究が進んでいる。また、自然保護の分野では、地域集団のサイズと遺伝的多様性の減少との関係がしばしば話題となっている。これら多方面にわたる近親交配に関する近年の研究成果を持ち寄り、学際的な議論を進めたい。

プログラム

3月4日

遺伝学から

13:00-13:50
石田 清 (弘前大学・農学生命科学部)
「樹木における近親交配と近交弱勢:近交弱勢に影響する諸要因について」

13:50-14:40
森光 由樹 (兵庫県立大学自然・環境研究所森林動物研究センター)
「野生動物保全から見た孤立個体群の集団サイズと遺伝的多様性の関係」

14:40-15:10
コメントと討論
コメンテーター:村山 美穂(京都大学・野生動物研究センター)

人類学から

15:30-16:20
今村 薫(名古屋学院大学・経済学部)
「親族カテゴリーと近親婚−サンの事例から−」

16:20-17:10
竹ノ下 祐二(中部学院大学・子ども学部)
「同性愛と近親交配」

17:10-17:40
コメントと討論
コメンテーター:菅原 和孝(京都大学・大学院人間・環境学研究科)

18:00-20:00
懇親会(霊長類研究所・多目的ホール)

 

3月5日

霊長類学から

9:00-9:40
橋本 千絵(京都大学・霊長類研究所)
「チンパンジー属に見られる母子間の性行動」

9:40-10:30
松本 晶子(琉球大学・観光環境科学部)
「サバンナヒヒにおける近親交配の回避メカニズム」

10:30-11:20
山極 寿一(京都大学・大学院理学研究科)
「ゴリラの複雄群化と繁殖戦略」

11:20-11:50
コメントと討論
コメンテーター:竹ノ下 祐二(中部学院大学・子ども学部)

心理学から

13:00-13:50
白波瀬 丈一郎 (慶応義塾大学・医学部)
「近親姦タブー,誰が禁じ誰がそれを犯したのか−精神分析実践に基づく考察−」

13:50-14:40
平石 界(京都大学・こころの未来研究センター)
「インセストタブーの進化心理学:Westermark効果とその先」

14:40-15:10
コメントと討論
コメンテーター:小田 亮(名古屋工業大学・大学院工学研究科)

15:10-15:40
総合討論