京都大学霊長類研究所 2008 年度共同利用研究会

2008年度ホミニゼーション研究会
ヒトの起源:共通祖先の形と暮らしを探る

日時:2009年3月14日(土)〜15日(日)
場所:愛知県犬山市官林 京都大学霊長類研究所大会議室

ヒトの起源:共通祖先の形と暮らしを探る

ヒトの誕生と進化について知りたい。そういった素朴な興味から発した自然人類学・霊長類学の研究は、さまざまな分野で大きな発展を遂げてきました。とくに近年は、アフリカの後期中新世の大型類人猿化石の発見や、アフリカ各地での類人猿の生態学的比較研究の進展で、人類と大型類人猿の共通祖先の形態、社会、環境を考える上で、多くのヒントがもたらされるようになってきました。また、エチオピアで発見された後期中新世の類人猿化石は、その解釈によってはヒトの誕生の時期を大きく見直す必要を突きつけ、ゲノムの進化に関する新しい理論的研究とのすりあわせも必要になってきています。

今年のホミニゼーション研究会では、本研究会の原点に立ち帰って形態学・生態学・遺伝学の研究者がお互いの知見を持ち寄り、共通祖先についてわかっていることについて情報を整理し、現段階で推定できること、今後検討を進めたいことについて討論を行いたいと思います。プログラムについては、添付のファイルをごらん下さい。年度末のお忙しい時期ですが、皆様ふるってご参集ください。また、ご関係の方々もお誘いいただければ幸いです。

世話人:古市剛史、中務真人、橋本千絵、國松豊


プログラム

3月14日

<共通祖先の形態と分岐年代の再検討>

13:00-13:45 國松 豊(京都大学・霊長類研究所)
「アフリカの環境変動とナカリ出土の類人猿化石」

13:45-14:30 仲谷英夫(鹿児島大学・理学部)
「アフリカ哺乳類相の成立」

休憩

14:45-15:30 諏訪 元(東京大学・総合研究博物館)
「チョローラ出土の類人猿化石とヒト上科の分岐について」

15:30-16:15 颯田葉子(総合研究大学院大学・生命共生体進化学)
「分子に基づくヒト上科の分岐年代の推定と問題点」

休憩

16:25-16:40 コメント
中務真人(京都大学・理学研究科)、
清水大輔(日本モンキーセンター)
河野礼子(国立科学博物館・人類研究部)

16:40-17:40 総合討論

18:00- 懇親会(霊長類研究所多目的ホール)

3月15日

<乾燥地帯でどう生きるか>

9:30-10:10 酒井哲弥(島根大学・理工学部)
「モンスーン気候の特徴とその発達」

10:10-10:50 小川秀司(中京大学・国際教養学部)
「サバンナウッドランドのチンパンジーの生活パターン」

休憩

11:00-11:40 山極寿一(京都大学・理学研究科)
「フォールバックフードと形態、行動の進化」

11:40-11:50 コメント
伊谷原一(京都大学・野生動物研究センター)
鈴木 滋(龍谷大学・国際文化学部) コメントと話題提供

11:50-12:20 総合討論

昼食

<運動形態と二足歩行の進化>

13:20-13:50 久世濃子(京都大学・理学研究科)
「野生オランウータンの運動様式 -ブラキエーション再考-」

13:50-14:10 橋本千絵(京都大学・霊長類研究所)
「野生チンパンジーの樹上移動様式」

14:10-14:50 平崎鋭矢(大阪大学・人間科学研究科)
「二足歩行とエネルギー消費量」

休憩

15:00-15:40 古市剛史(京都大学・霊長類研究所)
「初期人類における二足歩行の進化の要因の再検討」

15:40-15:50 コメント
田代靖子(林原類人猿研究センター)
五百部裕(椙山女学園大学・人間関係学部)

15:50-16:30 総合討論