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事業報告事業番号:23-008 キリンの発育に伴う社会関係の変化に関する研究 報告者: 齋藤 美保 期間: 2011/7/1 - 2011/11/4 申請者は、これまであまり着目されてこなかったキリンのコドモ数頭とメスで構成される“クレイシ”という群れ内の養育構造に興味を持ち、コドモ期と亜成体期の比較からキリンの発育に伴う社会関係の変化を追跡することで、キリンの離合集散型社会の形成について明らかすることを研究の目的とした。そのため個体追跡の対象となるキリンの年齢クラスを幅広く選択でき、群れの構成個体が日々変化する野生での研究が不可欠であった。またクレイシに関する先行研究はアカシアサバンナの植生を呈するセレンゲティ国立公園で行われており、申請者は様々な植生がクレイシという社会構造にどのような影響を及ぼすのかという点にも興味を持っていた。そのためアカシアサバンナとは異なる、ミオンボウッドランドの植生を呈するカタビ国立公園での調査が不可欠であった。 申請者はカタビ国立公園に約3カ月滞在し、ミオンボウッドランドの植生を呈する公園事務所付近においてレンジャー同伴で徒歩による調査を行った。キリンの群れを発見した場合、群れ個体数、各個体の性年齢クラスを記録するとともに、首の模様を記録し個体識別を行った。次に個体追跡の対象を決め、追跡個体の1分毎の行動、他個体との身体接触時間、社会行動の記録をした。さらに一つの群れに属する各個体の位置関係を10分毎に個体間距離とともに記録した。また車が使用可能な場合、公園事務所から約60km離れたアカシアサバンナの植生を呈するイクー地域での調査を行った。イクーでは観察されるキリンの群れの頭数、各個体の性年齢クラスを記録した。このことから、先行研究の行われた他の異なる植生を持つ国立公園との群れ構造の比較だけでなく、カタビというひとつの国立公園内における植生の違いがキリンの群れ構造に及ぼす影響が明らかになると考えられる。
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