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事業報告

事業番号:21-015

頭骨形態の進化機構の解明

報告者:伊藤 毅

期間:2009/10/01 - 2009/11/30

生物の形態が示す多様性の進化機構を明らかにすることは、進化生物学や生物体系学における主要な目的である。本研究は、多様な環境に適応した霊長類を対象に、頭骨形態が示す系統情報と多様化の生態地理的要因を明らかにすることを目的している。そのため、野生由来の骨格標本を豊富に保有する自然史博物館に訪問し、形態データを収集する必要があった。また、アメリカ自然史博物館のエリック・デルソン博士を始めとするニューヨークの研究グループは、幾何学的形態測定の理論と実践において世界的に先導的な研究を行っており、その研究室に訪問することは今後の研究を方向付ける上で有益だと考えた。

アメリカ自然史博物館、スミソニアン国立自然史博物館、フィールド自然史博物館、比較動物学ハーヴァード博物館に訪問し、マカク属、他のヒヒ族、テナガザル科の約50種1700標本から三次元標識点データ及び距離計測データを取得した。またアメリカ自然史博物館のエリック・デルソン博士の研究室を訪問し、マカク属をはじめとする旧世界ザルの化石標本を観察・計測した。デルソン博士とお互いの研究内容に関して意見交換するとともに、幾何学的形態測定の実践における最新の知見を学んだ。帰国後は化石標本への応用と気候変動に伴う適応進化の理解を視野に入れ、取得したデータは多変量解析を用いて分析される。







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