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事業報告

事業番号:21-008

野生ボノボにおける順位序列の多様性と社会変動との関係の解明

報告者:坂巻 哲也

期間:2009/06/17 - 2009/12/07

人類進化の観点で人間社会の生成を解明するには、ヒトに最も近縁な現生種であるチンパンジーとボノボ社会の研究が、ほぼ唯一と言ってよい材料を与えてくれる。これまで、集団間が敵対的でオス中心の順位社会を作るチンパンジーに対し、ボノボはメス優位の平和的な社会を作ると言われてきた。しかし近年、ボノボの種内において、とくに飼育下の集団において、順位序列のあり方が集団ごとに多様であることが注目されている。そこでは、集団の歴史や個体のパーソナリティが関係するであろうことが指摘されている。コンゴ民主共和国のルオー川学術保護区では、日本人研究者による野生ボノボ研究が長期継続されており、個体識別に基づいた社会関係の試料収集が可能である。主な調査対象のボノボ集団は、2008年にオス間の順位に変動があった。この順位変動の前後で起こったであろう社会関係の変化を調査するため、本調査が計画された。

2009年6月17日、関空発。6月18日、コンゴ民主共和国の首都キンシャサ着。調査準備、関係省庁訪問、調査打ち合わせ等行う。7月4日、調査地のルオー川学術保護区着。野外調査を実施。11月23日、ルオー川学術保護区発。11月29日、キンシャサ着。関係省庁訪問、調査報告等行い、12月5日にキンシャサ発。12月7日、関空着で帰国。
ルオー川学術保護区におよそ五カ月滞在し、野外調査を実施した。調査対象は、個体識別の基づいて調査が継続されているE1群のボノボである。観察は、かれらが毎晩新たに作るベッドからベッドまで集団を追跡する中で行い、アドリブサンプリングで順位序列に関連する攻撃交渉と個体間の親しさに関連する毛づくろい、性器接触交渉などの行動データを収集した。総観察時間は、約448時間である。現地調査中から、基本的なデータの分析をはじめ、現在に至る。社会変動との関連を評価するため、2007年、2008年の調査で得たデータ分析も進めている。







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