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事業報告

事業番号:20-050

「野生サバンナヒヒの群間と繁殖」に関わる海外調査

報告者:松本 晶子

期間:2008/08/19 - 2008/09/07

タンザニア共和国ゴンベストリーム国立公園の野生アヌビスヒヒでは,同所的に生息するにもかかわらず,群間でメスの発情時期が異なる.その違いを引き起こす要因として,群間の優劣,群れの主たる遊動域の生態環境,遺伝的関係が考えられる。群間でメスの発情時期の変異にどの要因が影響しているかを明らかにするためには、複数の群れで長期にわたって記録が保存されている研究地で,実際の野外調査をおこなうことが必要不可欠である.

これまでの研究で,ゴンベストリーム国立公園の野生アヌビスヒヒにはメスの発情が避けあっている群れとそうではない群れが存在することが明らかになっている.今回の調査では,6群を対象に,発情時期の違いをもたらす要因と考えられる社会構成、社会性比、生息地の環境、群れ間の優劣に関して予備的な基礎資料を収集した。
同程度のサイズの2つの群れを比較したところ、遊動域の重複が大きかった.遊動域の重複は食物種の違いが少ないことを意味する.オスの数には,大きな違いがあった。オスの数の多い群れではメスは発情を避ける傾向があった.このことは、発情の時期が生態的な環境要因より、社会的な環境要因に影響されている可能性を示唆する。


ゴンベ国立公園のメインゲート


調査群のヒヒとアシスタント

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