事業報告事業番号:20-032 シベリア南部のウドゥンガ地域から見つかっている鮮新世のコロブス類化石の解析 報告者:高井 正成 期間:2008/05/16 - 2008/05/25 シベリア南部のトランスバイカル地域(バイカル湖南東部)に広がっている鮮新世後半の地層からは、コロブス類に含まれるParapresbytis属の化石がみつかっている。この化石はユーラシア大陸における最北のサル化石であるが、なぜこの地域にサルが生息していたかに関しては、未だに定説がない。ウドゥンガ地域から見つかっている霊長類を含む哺乳類化石相の解析を行うことにより、ユーラシア大陸における旧世界ザル類の拡散プロセスが解明されることが期待される。これらの化石標本はロシア国外への持ち出しがむずかしいので、現地に赴いて観察・計測し、必要に応じて複製模型を作成するためのモールド(雌型)を採取する必要がある。 ロシア南部のロストフ・ナ・ドヌにあるロシア科学院南部科学センターのカルミコフ教授の研究室を訪問し、同研究室に保管されているトランスバイカルのウドゥンガ地域から見つかっている霊長類を含む哺乳類化石標本の整理と計測を行った。ウドゥンガ化石動物相には、鮮新世後半の8目の哺乳類(齧歯類・兎形類・霊長類・食肉類・偶蹄類・奇蹄類・長鼻類・岩狸類など)の化石が含まれていて、その動物相の解析は鮮新世におけるユーラシア大陸の霊長類の進化プロセスの解明に重要な役割を果たすと期待されている。今回の訪問では、コロブルス類のParapresbytisの遊離歯化石を観察し、その複製模型のためのモールド(雌型)を採取した。また同化石相に最も豊富に含まれているウシ科やシカ科の偶蹄類化石の整理と同定を行い、主に体肢骨標本の観察と計測を行った。計測結果は多変量解析を用いて解析し、現在整理中である。
HOPE Project<> |