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事業報告

事業番号:20-025

コンゴ民主共和国赤道州ワンバ地区における住民の森林利用に関する研究

報告者:木村 大治

期間:2008/08/20 - 2007/09/24

コンゴ民主共和国赤道州ワンバ地区においては,1970年代から日本人研究者によるボノボの研究がはじまり,引き続いて地域住民の人類学的な調査がおこなわれてきた。申請者は1980年代にワンバ地区おいて生態人類学的調査をおこなってきた。その後,コンゴ内戦による中断ののち,2005年より調査を再開している。現在,熱帯林の動植物相の保護と,地域住民の生活の保全をどのようにすり合わせていくかが大きな問題となっている。この地域での30年以上にわたる資料の蓄積のもとに,住民による森林利用の変化を明らかすることによって,今後のボノボを含む自然保護計画の推進に必要なデータを蓄積していくことを目的として調査をおこなっている。

今回は、森林および河川において,どのようにタンパク質性食物が獲得されているかについての実地調査をおこなった。調査村において,村人が狩猟,漁撈に出かけるのに同行し,狩猟・漁撈活動の実態を記録・撮影するとともに,活動場所をGPSで記録した。その結果,昔はよくおこなわれていた集団猟は,現在ではまったくと言っていいほどおこなわれなくなり,罠猟が狩猟の大部分を占めていること,漁撈活動の比重が昔に比べて大きくなっていることが明らかになった。また,活動が村からどの程度離れたところでおこなわれているかについてのデータを得ることができた。

前回までのHOPE派遣で集めた,「インフォーマントが自宅に持ち帰った食物その他についての記録」約20人の1年分のデータの入力作業が完了したので,そのデータ(Excelで約6万行)をインフォーマントとともに見ていき,わからない物品の単語の確定,間違った入力の修正作業をおこなった。(約1週間,毎日5時間程度を要する大変な作業であった。)今後このデータを用いて,さまざまな角度からの分析を試みる予定であるが,「速報値」としては,やはりタンパク質性食物としては,魚類が陸上動物よりも重要になって来つつある傾向が明らかになっている。


完成した調査基地で入力作業をおこなう著者


押し潰し罠を点検する少年


ナイロン網で取れた魚

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