事業報告

事業番号:20-023

原生林に生息する野生ボルネオ・オランウータンの生態と社会に関する調査

報告者:久世 濃子

期間:2008/06/03 - 2008/06/27

従来、オランウータンは果実生産量が高い場所では生息密度が高くなり、集団を形成する傾向が強まる、と言われてきた。本事業の調査地では、果実生産量の変動に対応して、生息密度は大きく変動するものの、常に2.5頭/km2以上の高い生息密度を示すことが明らかになっている。本事業では、このような環境におけるオランウータンの社会行動を調べ、オランウータンの社会性を規定する要因を明らかにすることを目的としている。本年度の調査では、同じ地域を利用する2個体を同時に追跡することで、個体間の交渉の詳細を明かにする予定である。

今回の調査では、まずオランウータンの探索および追跡を行った。2008年6月は計5頭(Unflanged Male: 1頭、Mother: 1頭、Infant: 1頭、Juvenile Male: 1頭、Adolescent Female: 1頭)について合計51時間(4日間)の観察記録を得ることができた。このうち39時間(2日間)は2個体同時追跡(2組の調査員が2個体を同時に追跡)だった。さらに調査助手の為に新しい住居を借り、引っ越し作業を行った。また調査助手が調査地内で、オランウータン(おそらく成体)の大腿骨を発見したので写真を撮影した。これら骨からDNA分析用のサンプルを採取し、共同研究者であるサバ大学熱帯生物保全研究所のBenoit Goossens博士に提供した。またサバ州政府経済企画局で研究報告会を行い、この3年間の研究成果が認められるとともに、今後の調査の継続についても了承を得た。


3日間以上、母子につきまとっていたアンフランジ雄
(左:雄、右:雌、雌の背中にいるのがコドモ)


調査地内で発見されたオトナと思われるオランウータンの大腿骨


調査助手用の新しい家

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