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事業報告事業番号:20-013 コロブス亜科霊長類における顔面頭蓋の形態的多様性進化の解明 報告者:小薮 大輔 期間:2008/09/21 - 2008/10/17 コロブス亜科霊長類はその顔面頭蓋形態において顕著な種間変異が存在することが知られている。顔面頭蓋の形態形質における多様性はこれまで同亜科の系統分類の際に重要な位置を占めてきたが、その形態学的多様性自体の進化要因はほとんど解明されてこなかった。そこで派遣者は同亜科における顔面頭蓋の形態的多様性は食性多様化と対応した適応の結果なのか、その他の生態要因によるものなのか、あるいは逆に遺伝的浮動によって生み出されたものなのかを、三次元幾何学的形態測定法および数理生態学的解析の手法をもちいて検証を行ってきた。これまで京都大学霊長類研究所、大英自然博物館において野生由来の個体を対象に頭骨の形態データを集積してきたが、アジア産コロブス類の標本データ数が現状では不十分であったため、豊富なコロブス類コレクションを有するシンガポール大学ラッフルズ博物館に赴き、更なるデータを獲得する必要があった。 派遣者はラッフルズ博物館にて所蔵されているシマノコノハザル、クリイロリーフモンキー、メンタウェールトン、テングザル、シルバールトン、エボニーリーフモンキー、ダスキールトン、ボウシラングール、フランソワルトン、ドックモンキーを対象に接触型三次元座標計測器を用いて頭蓋骨、下顎骨、歯牙の主たる形態学的ランドマークの三次元座標を取得し、食性と形態の対応の有意性を統計学的に解析を行った。また、シンガポール国内に生息するシマコノハザルPresbytis femoralis の保全生態学的研究を行っているシンガポール大学のHui Fang Tang氏 とシマコノハザルについての情報交換を行うとともに、今後のシマコノハザルの生態観察の可能性をさぐるため、ラッフルズ博物館のKok Peng Lim氏、Hui Fang Tang氏とともブキティマ国立公園、スンガイブロウ保護区において、予備的な野外動物調査を行った。
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