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事業報告

事業番号:20-013-2

コロブス亜科霊長類における顔面頭蓋の形態的多様性進化の解明

報告者:小薮 大輔

期間:2009/03/01 - 2009/03/14

これまで派遣者は京都大学霊長類研究所、大英自然博物館、シンガポール国立大学ラッフルズ博物館において野生由来の個体を対象に頭骨の三次元形態データの集積を行ってきた。派遣者のこれまでの研究によってアフリカコロブス類の形態学的多様性は同亜科における食性分化の観点から説明しうることが明らかになってきた(Koyabu & Endo, 2009, J. Hum. Evol.)。アフリカコロブス類の姉妹群にあたるアジアコロブス類においても同様の対応パターンが認められるかを検討する必要があったが、未だデータの不足する系統群が残存していたため、豊富なコロブス類コレクションを有する米国スミソニアン研究所国立自然史博物館に赴き、更なるデータを獲得する必要があった。

米国スミソニアン研究所国立自然史博物館にて標本調査を行い、接触型三次元形状デジタイザーを用いて37種800個体におよぶコロブス種の頭蓋骨および下顎骨の詳細な三次元座標を取得、集積した。取得されたデータから各種の頭骨の三次元モデルを構築し、三次元幾何学的形態測定法を用いて、霊長類において頭骨が系統発生学的、進化生態学的文脈のなかでどのように多様化してきたのかを定量的に解析、記述した。さらに、機能形態学的な観点からコロブス亜科の三次元的咀嚼運動および咀嚼力の種間変異を定量的に解析し、系統発生学的な拘束による形態パターンと食性変異(果実食性,若葉食性,成熟葉食性,種子食性,雑食性)による形態パターンを分析した。


スミソニアン研究所アメリカ国立自然史博物館の外観


同博物館内の常設展示の様子


種子食性コロブス Presbytis rubicunda の頭骨標本

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