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事業報告

事業番号:20-010

タイ北部に分布する新第三系陸生層から産出する脊椎動物化石の化石成因論

報告者:福地 亮

期間:2008/07/10 - 2008/08/04

タイ国北部チェンムアン炭坑及びランパーン県ソプメタン地域では、脊椎動物化石を含む地層が広く露出しており、それらの産状を確認する機会が多いと想定されるため。また、タイ国北部より産出した脊椎動物化石は、同地域のほかにも、タイ国東北部の博物館にも収蔵されており、それらの収蔵先の確認と化石の観察を行うため。

タイ国北部パヤオ県チェンムアン郡にあるチェンムアン炭坑において、14日間調査を行い113点の化石を採取した。この内、地層中から採取したものは14点である。これら地層中から発見した化石のほとんどは、関節が外れた状態であり、層理面に対し平行な方向に埋没していたことから、堆積作用によって運搬されたものであると考えられる。しかし、1点偶蹄類化石の後肢(??骨、距骨、中足骨)はほぼ関節した状態で見つかり、特に中足骨は層理面に対して直交する方向に埋没していた。この化石は、堆積作用によって運搬されたものではなく、イノシシがこの場で死に、化石化したものであると考えられる。
ランパーン県ソプメタン地域では1日間調査を行い18点の化石を採取したが、地層中から化石を採取することは出来なかった。そのため、同地域での脊椎動物化石の成因を検討することは出来なかった。
タイ国東北部カラシンの恐竜博物館とナコンラチャシマーの珪化木博物館を訪ね、前者の博物館にはタイ国北部(メモ盆地、チェンムアン盆地、ポン盆地)産の脊椎動物化石が収蔵されていることを確認した。


イノシシ化石の産状。白い実線で囲まれた部分が化石。距骨、腓骨、骨片が遊離し散乱している。
距骨や腓骨の長軸方向は層理面に対して平行であり、
水流等の営力によって運搬されたものであると考えられる。


偶蹄類化石の産状。白い実線で囲まれた部分が化石、白い破線が層理面を示す。
中足骨の長軸方向は層理面に対し、ほぼ直交する方向を示しており、
この化石が運搬されてきたものでないことを示唆している.

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