事業報告

事業番号:19-053

学習障害児の認知機能と教育システムにおける国際比較

報告者:福島 美和

期間:2007/10/25 - 2008/01/26

私の研究テーマは、普通学級に通う学習に障害をもった子どもの、療育プログラムの開発と脳機能の解明である。学習に障害を伴う子どもの診断やアプローチ方法は、世界の中でも米国において多くの研究がなされている。日本における学習に障害をもった子どもについては、日本語の特性から、その症状を明確に断定することが難しく、診断から療育方法まで、未だに一定の確立した方法は開発されていない。学習に障害が生じるメカニズムには、言語、文化の要因も大きく作用しているため、米国の研究を日本でも同じように汎用していくことが難しい。もしも、障害の発現に関わる米国との異なる点が明らかになれば、米国の研究を日本に応用することも可能であり、相互の研究を統合しより両国においても充実した教育へと結びついていくと考えた。

派遣先では、ハーバード大学大学院教育学研究科に客員研究員として所属し、勉強・研究に勤しみながら、見聞を広めてきた。私の所属した研究室は「Mind Brain and Education」という名の新しい分野を開拓しており、最新の認知科学研究と脳科学研究を統合し、いかに教育学に反映していくかという試みを行っていた。この試みにより、これまで科学に対して閉鎖的であった教育学が、大きく変革しようとしている。滞在中には、第一回Mind Brain and Education 学会大会が開催され、幸いにも発表する機会を頂いた。大会は第一回目であったにも関わらず、世界中から著名な研究者が集まり、この新しい分野への関心の高さが伺えた。
滞在中には、Landmark Schoolという、学習障害の子どものみが通う学校に出入りし、最先端の教育システムを目の当たりにしてきた。学習障害の子どもにとってはその特徴に配慮したとても良い学習環境が整っており、日本には現在このような学校はないが、日本でも参考にすべき点が多々あるのではないかと感じた。


Harvard Yard


Harvard Graduate School of Education


Kurt Fitsher

HOPE Project<>